工事で日中4日水止まる 賃借人の不便に賃貸人は

回答者 弁護士  米倉勉さん(渋谷合同法律事務所)


私は築二十八年の分譲マンションに三十二戸のうち四戸を所有し、第三者に賃貸に賃貸しています。今般、大掛かりな給排水管の工事があるということで、工事期間中の四日間、工事業者が部屋に立ち入る必要が生まれ、また午前九時から午後四時まで水が使えない状態になります。
 賃借人は平日は仕事で外出するから工事業者の出入りに立会いもできないし、休日の土曜日もトイレも使えないのは困ると苦情を言う人や、四日間ホテルにでも泊まろうと言い出す人もいます。どうすればいいでしょうか。(埼玉県・Y子)

◇  ◇

米倉 工事はやむを得ないでしょうか。

――管理組合の説明では、水漏れの危険があるので、工事は仕方がないと言います。四日間水が使えないかどうかは分かりませんが、仮設のトイレを設置するそうです。部屋への出入りもずっとではないと思います。

米倉 工事そのものは必要なことですから、四戸の方には休日の土曜日の不便を我慢してもらうことが基本でしょう。

――賃借人は家賃を支払っているのに、不便をうけるのはおかしいから補償してほしいと言っています。

米倉 平日が工事の方はもともと不在なのですから、賃料減額の必要はないでしょう。また、ホテルに仮住まいしなければならないような事情ではなさそうですから、そこまでの費用負担は必要ないと思います。
 しかし、賃借人の方が自分の責任による工事ではないので、支払った賃料に相応する部屋の使用ができないと主張するなら、解決策としては、月額賃料の日割り計算をして、一日分ないし半日分に相当する金額を賃料から減額することも一案として考えられます。

――もう一つの問題は、平日の立ち合いができず貴重品が心配なので、私に立ち会ってほしいと言っているのです。管理人は、その部屋の工事の最初と最後にカギの開け閉めをするだけで、工事業者が出入りする都度立ち会うわけではないようです。

米倉 賃借人には自分は工事に立ち会えないこと、管理人はカギの開け閉めをするだけなので、貴重品は置いておかないようにと、はっきり伝えておくことです。
 その上で、賃借人に在宅するかしないかを決断してもらうことになります。その場合、平日分についても、賃料減額が必要になるかもしれません。
 工事は必要なわけですから、賃借人との関係はよく話し合って賃貸人において解決する必要があります。

(しんぶん赤旗 2003年11月19日付)



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