タイルはげて修理したが半年後再発に業者負担は

回答者 弁護士 中村 宏さん


 築十一年で六階建て四十戸のマンションの理事長をしています。玄関前の階段の部分に亀裂が入って、その部分のタイルが全部はげ落ちるという事故が約一年前に発生しました。
 その点について、分譲業者と再三交渉して最終的に業者の全額負担で修理をしてもらいましたが、その同じ部分が工事後半年もたたないうちに、また、はげ落ちてしまいました。
 その場合、再度責任をとってもらえるのでしょうか。(神奈川県・A生)

◇    ◇

 中村 その亀裂はいつごろから出たものでしょうか。

 ――入居して四年たったころです。この当時、分譲業者にその事実を指摘して、修理を求めた文書が残っています。しかし、その後昨秋の修理まで何の対応もなされず、先日はその部分のタイルがまたはがれ落ちてしまったのです。

 中村 売買契約にはどのように記載されていますか。

 ――入居当初の売買契約では、瑕疵(かし)についての担保期間は引き渡しより二年となっていました。

 中村 確かに契約書では引き渡しより二年とされている例が多くあります。現在では住宅品質確保法で、外壁などについては引き渡しより十年の担保期間とされていますが、これはあなたの分譲マンションには適用されません。
 ただし、重要な点はすでに双方の話し合いで、業者が責任を認めて修理しているということです。
 これは担保期間を仮に経過していたとしても、双方の合意で担保期間の定めを問わず、業者が修理するという新たな約束をなしたということになります。
 法的には、瑕疵担保期間が経過しているといっても、分譲業者が本件についての瑕疵担保責任を負うという内容で一種の和解をしたことになるでしょう。
 その和解に基づく修理義務に関して、再度不完全な工事がされたとすれば、修理がきちんとなされるまで請求ができるのは当然です。

 ――すると、修理はしてもらえるのですね。

 中村 ただ問題は、原因が当初発生した亀裂に基づくものと同じかどうか、前回の工事の不十分だったことが原因かどうかという技術的問題にかかってくるでしょう。
 もちろん同じ場所で発生した現象ですから、一般的には同じ亀裂に関する修理ミスと考えられる可能性が高いと思います。
 修理の瑕疵担保期間が一年間ありますので、不完全な修理だったことを指摘し、再度修理を求めてください。

(「しんぶん赤旗」2003年05月14日 10日)



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