共同アンテナ使用料負担は契約期間後も管理組合か

回答者 弁護士 米倉 勉さん


 私が住む分譲マンションは、十年前の建築時に、周辺の住宅への電波障害があるということで、屋上に共同アンテナを設置し、受信した電波を周辺の住宅に供給しています。
 周辺住宅への供給設備は、電力会社の設備を借りたもので、マンションを建築した分譲会社が、電力会社と十年間の使用契約を結んでいます。
 ところが、その使用料は、当初は分譲会社が支払っていたのですが、二年目からは管理組合が共益費用として負担しています。十年の期間が経過するに当たって、今後もマンション住民が使用料を負担しなければならないのでしょうか。(兵庫県・K生)

◇    ◇

 米倉 マンションの建築時には、分譲会社(あるいは建築会社)と周辺住民との間で協定が取り交わされ、電波障害について、マンションの屋上に共同アンテナを設置して、そこから周辺の住宅にケーブルを引くという合意をすることが多いのです。そうした経緯ではありませんか。

 ――そうだと思います。

 米倉 その協定では、期間を十年に限るという取り決めをしていますか。

 ――その点については、協定書を持ち合わせていないので分からないのです。

 米倉 調べてみる必要がありますね。電波障害という永続的な障害について、期間を限定するのは一般的ではありませんから、おそらく特別の取り決めはなかったのでしょう。そうだとすると、今後もマンション側で使用料を負担する必要があります。

 ――電力会社との契約は十年間ですが。

 米倉 それは、電力会社との契約ですから、無期限ではなく期限を定めることが普通だと思います。
 しかし、周辺住民との協定にはそのような限定はないとすると、契約を更新するなどしてきちんと対処しなければなりません。更新をしないままに電波の供給が止まれば、周辺住民からは苦情が出ることになるでしょう。

 ――分譲会社が約束したことなのに、マンションの住民が負担するのですか。

 米倉 その点は、おそらく分譲時の契約等で、分譲会社が負っていた負担を管理組合が引き継ぐことが定められているのでしょう。
 また、周辺住民からすれば、マンションによる障害ですから、現在のマンション所有者の集合体である管理組合に要求がなされることは、やむを得ないと思われます。
 なお、分譲会社がこれらの引き継ぎをきちんとしていないことには問題がありますので、当時の記録や文書類を管理組合に引き渡すように対処すべきでしょう。

(「しんぶん赤旗」2003年04月16日10日)



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