2006年12月3日(日)「しんぶん赤旗」
自公民「共同修正」へ急加速
九条改悪へのステップ狙う
改憲手続き法案
九条改憲のための条件づくりとなる改憲手続き法案をめぐって、自民、公明、民主三党の共同修正への動きが本格化しています。
一日の記者会見で民主党の鳩山由紀夫幹事長は共同修正へ向けて「基本的に自民・公明と民主党との間で合意がなされた」と発言。与党幹部も鳩山氏の発言を受けて、「現場レベルで合意がなされたという報告は受けている。民主党の幹事長からそういう発言があるなら、今国会で衆院の委員会採決ぐらいまではいけるのでは」と意欲を示しました。
民主党憲法調査会関係者は「具体的な共同修正案づくりへの詰めはまだ時間がかかる」と言いますが、共同修正へ向けての基本合意は、改憲手続き法案成立へ向けて重大な段階を画するものです。
手続き法案を審議している衆院憲法調査特別委員会でも自民党理事が十一月三十日の理事懇談会で、週一回で行ってきた委員会開催を週二回とするよう執ように提案。この間、自民党の提案に難色を示してきた民主党がこれに応じたため、国会の会期もあと二週間残すのみという中でペースアップする展開です。
早期成立図る
自公民で共同修正の動きがあるのは、改憲手続き法案で自民・公明の与党案と民主党案の二つの案があるからです。両案は、改憲案が通りやすい基本的な仕組みは同じですが、いくつかの相違点もあります。
具体的には、(1)国民投票制度を改憲に限定するか(2)投票年齢を二十歳以上とするか十八歳以上とするか(3)改憲案の承認の要件を「有効投票の過半数」とするか「総投票の過半数」とするか―などです。この間の特別委員会の議論では、自民党側が投票年齢などで歩み寄るなど、共同修正に向けた地ならしが行われてきました。
こうした動きは、「来年の憲法記念日、現憲法施行六十年までに法案を何としても成立させたい」(自民党憲法審議会関係者)、「早期に手続法を成立させ改憲論議を本丸にステップアップさせたい」(同前)という改憲派の強い執念を現すものです。
十一月三十日の衆院憲法調査特別委では、公明党の赤松正雄議員が「(国会の憲法調査会終了後)一年七カ月空白期間があって、憲法改正について国民に提示する論点整理が、詰めた議論がされないでいることはいささか残念」などと発言。自民党の中山太郎委員長が気色ばんだ様子で“反論”する一幕もありました。
“一年半無為に過ごしてきたのではなく、改憲論議を次のステップへと進めるため全力を尽くしてきた”と、言いたかったようです。
自・民 大詰め
自民党は今週、改憲手続き法案で民主党との共同修正を進めるためにつくった特命委員会の開催を中心に党内調整を本格化させます。民主党も党憲法調査会の役員会を開催し、自民党との共同修正に向けての中間的な経過説明を同党ネクスト・キャビネット(次の内閣)に提出する方向です。
法案審議の中では、日本共産党の笠井亮議員らの追及によって改憲案を通しやすくするための法案の仕組みがますます明らかになりつつあります。九条改憲との一体性と合わせ、広く国民に知らせていくことが重要です。