2006年11月26日(日)「しんぶん赤旗」

憲法を泣かせない

九条の会、初のセミナー


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(写真)九条の会が開いた憲法セミナー。手前は講演する澤地久枝さん=25日、東京・明治大学アカデミーホール

 「九条の会」初めての試みとなる「憲法セミナー」が二十五日、東京都千代田区の明治大学で開かれ約八百人が参加しました。同セミナーは各界で活躍する多彩なゲストを招いて開くもので、今回は作家の辻井喬さんが参加。多彩な質問も出され、若者への働きかけをどうするかなど真剣なやり取りも行われました。

 辻井さんは、護憲運動を広げる上で、護憲派・良識派の「タブー」を見直そうと提起しました。「ナショナリズム」「共同体」「伝統」など、改憲派にも悪用される言葉への過剰なアレルギーはコミュニケーションの幅を狭めているとして、「これらの言葉の持つ本来のいい側面を見直すなど、大多数の賛成できる意見が広がるのを妨げる条件を取り除いていけば憲法は絶対に守れる」と呼びかけました。

 呼びかけ人の加藤周一さんは、「九条の会」の目的として、九条を守る運動を広げることと考えを深めることが必要だとのべ、セミナーの趣旨を説明。「平和にとって、九条を守ることと(日本の)対外関係における独立性は無関係ではない」とのべ、両者の関係を解き明かしました。

 呼びかけ人の澤地久枝さんは、東京大空襲でわが子を亡くした女性や、三十代で再召集された男性の悲劇など、自ら取材してきた庶民の戦争体験、さらに自らの戦争体験を語りつつ、戦争の悲惨な実相を語りつぐ大切さを強調。武器なき平和の理想が日本国憲法に体現したとのべ、「この憲法を泣かせてはならない。決してあきらめることなくできることをしていこう」と呼びかけました。

 インターネットでセミナーを知ったという台東区の男性(30)は「改憲の流れの中で護憲派の魅力はどこにあるかと思って来たが、日本が孤立せず生きる道は九条を生かしアメリカからも独立した外交をすることだと考えが深まった」と語りました。

全国5639の「会」

「九条の会」は二十五日の憲法セミナーで、事務局が掌握している全国の草の根の「九条の会」の数が5639に達したと発表しました。準備会を含めての結成数で、十月に調査したものです。


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