2006年11月25日(土)「しんぶん赤旗」
増える経済苦 就学援助削減
崩れる機会均等
教基法改悪案で加速
「経済的困難が子どもの教育を受ける権利を脅かしている。この実態をどう思うのか」。日本共産党の小林みえこ議員は二十四日の参院教育基本法特別委員会で、現行教育基本法三条で定めた教育の機会均等に逆行し、就学援助を減らしてきた行政の姿勢を追及しました。
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参院委で小林議員
小林氏は、大阪教職員組合のアンケート調査をもとに、子どもと親の切実な実態を示しました。夜間のアルバイトをかけもちし、子どもに夕食を食べさせるため夜十一時にいったん家に帰り、また深夜一時から朝六時まで働くというある母子家庭や、経済苦から普通千円以上するリコーダーを百円ショップで間に合わせたため音が狂ってしまうなど、学ぶ機会もままならない深刻な状況があります。
これらの実態に、伊吹文明文科相は「義務教育においてはあってはならないことだ」と答えました。
こうした現実が広がる中、行政による就学援助は二〇〇五年度に比べて受けにくくなっています。大阪府の各市では就学援助を受ける認定基準がのきなみ切り下げられています(グラフ)。高槻市は就学援助の予算を三千九百万円削減。七百四十九人の子どもが対象外になりました。その家庭では、年間八万円近くの負担増です。
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小林氏は、国が就学援助の「準要保護世帯」への補助金を一般財源化したことが問題の背景にあると指摘し、「教育の機会均等の保障を行政が果たしていない」と批判しました。伊吹文科相は「全国平均以下にあったのがさらに減らされたのか。地方自治体に調査をしたうえで答えたい」と答弁しました。
小林氏は、改悪法案では「教育行政は必要な諸条件整備確立を目標に行う」との規定を削除していることを示し、「政府案では教育の機会均等が確保される保障はどこにもない」と批判しました。
就学援助就 経済的理由で小中学校への就学が困難な児童・生徒の家庭に、入学準備金、学用品費、給食費、医療費などを援助する制度。就学援助を受ける児童・生徒は二〇〇四年度で約百三十三万七千人となっています。政府は〇五年度から国の補助を生活保護世帯に限定し、それに準ずる「準要保護世帯」に対する援助は、使い道を限定しない一般財源化しました。