2006年11月18日(土)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪・改憲手続き法を許さない中央総決起集会
志位委員長のあいさつ
(大要)
日本共産党の志位和夫委員長が十七日、東京・日比谷野外音楽堂での「教育基本法改悪・改憲手続き法を許さない中央総決起集会」でのべた、あいさつ(大要)は以下の通りです。
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みなさん、こんばんは。日本共産党の志位和夫でございます。心からの連帯のごあいさつを申し上げます。
暴走につぐ暴走許せない
この間、自民、公明は、与党単独で、教育基本法改悪法案の衆院特別委員会での強行採決、そして昨日は衆院本会議での強行採決を行いました。
私は、安倍首相にいいたい。何をそんなに急ぐのか。だいたい何のための基本法改定なのか。そのイロハさえ何も指し示していないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
私はみなさんとともに、与党単独の強行採決に心からの怒りをもって抗議するとともに、いま参院では、与党が勝手に単独で審議を始めていますが、これ以上、単独でことを進める、暴走につぐ暴走は絶対に許されない。この声をつきつけたいと思います。(拍手)
これで子どもに民主主義を教えられるか
この間の経過でまず重大な問題は、与党が国会のルールを破る無法を働いたことです。特別委員会で与党は、公聴会を開く前に採決日程を決めました。しかし公聴会というのは、大事な法案で国民のみなさんの声を聞き、審議に反映させる重要な場であります。公聴会を開く前に採決日程を決めるというのは、国民の声などはなから聞く耳を持たないということであって、国会のルールを破る許しがたい無法行為であります。
私は自民、公明の与党にいいたい。あなたがたは、国会のルールを破る数の暴力をほしいままにして、子どもたちに民主主義とは何かを教えることができるのですか(「そうだ」の声、拍手)。こんなやり方はまさに「反教育」そのものだということを糾弾したいと思うのであります。(拍手)
法案提案者としての資格にかかわる問題にほおかむり
みなさん、与党は「審議が尽くされた」といいます。しかし、審議はまったく尽くされてはおりません。三つの大問題での徹底審議が求められているし、私たちはそれを要求してきました。
第一は、法案提出者の資格にかかわる大問題です。
「やらせ質問」がやられていた。全国八カ所の教育改革のタウンミーティングのうち五カ所でやられていた。しかも、「やらせ質問」をやる際に、「棒読みにならないように」などという、むちゃな注文までつけてやらせていた。
未履修問題では、文部科学省が知っていながら隠していた。
いじめ自殺について文部科学省はこの数年ゼロとしてきましたが、実際は十六件というマスコミの報道もあります。
この三つの問題、法案提出者の資格にかかわる大事な問題で、私たちは、政府・文部科学省に対して、資料を出しなさい、文科省の責任をはっきりしなさい、態度を明らかにしなさいと求めました。しかしすべてほおかむりしたままであります。
みなさん、私は、特別委員会で、安倍首相と論争したけれども、口を開けば「規範意識」という、口を開けば「道徳」だといいますが、道徳がいちばん足らないのは政府であり、文部科学省ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
国民が切実に解決を求めている問題への方策もない
第二は、いま国民のみなさんが現に直面している切実な問題――いじめ自殺や未履修問題をどういったい解決していくのか、教育基本法を改悪したらいったいどうなってしまうのか。これは審議がようやく始まったという段階であります。
私たちは、この問題の温床に、あまりにもひどい競争主義がある。子どもを競争、競争としりをたたいて追いたてて、序列をつけてふるいわける、これが子どもの心をいちばん傷つけているのではないでしょうか。テストの点数で順位がつけられる。しかし、人間の価値はテストの点数で決まるものでは、決してありません(「そうだ」の声、拍手)。ところが一番から最後まで順番をつける、これが子どもの心を傷つけている。これが子どもにひどいストレスになっている。これが、いじめの温床の一つにもなるし、さまざまな教育のゆがみをつくっている元凶ではないでしょうか。(拍手)
私たちはこの問題を提起しました。しかし、安倍首相にはまともな認識もなく、打開の方向もしめせない。私は、安倍首相にいいたい。いま、国民のみなさんがいちばん心を痛め、解決を求めているいじめの問題、未履修の問題、さまざまな教育現場の「荒れ」や「ゆがみ」に正面から向き合い、それを解決することこそまっさきにやるべきことなのに、それへの方策もない、認識すらない。そういうもとで、教育の根本法である教育基本法に手をつけるなど、絶対に許せる道理がないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
憲法とのかかわりの審議―今国会ではこれから
第三は、改悪法案そのものの問題点です。この法案には、憲法に反する二つの問題点があります。
国家権力が子どもに「愛国心」を強制するなどというのは、憲法一九条が定めた内心の自由を侵害する、憲法違反の暴挙であります。
国家権力が教育の内容に事細かに介入し、支配するのは、教育の自由や自主性を定めた憲法に反する暴挙です。
九月二十一日、東京地裁の「日の丸・君が代」判決では、東京都のやり方は違憲、違法との画期的な判決で断罪しました。これは政府の改悪法案への断罪でもあります。司法がそういう判断を下した以上、立法府である国会がその判決をしっかり受けとめて、憲法とのかかわりについての徹底した吟味が必要です。
しかし、この審議はまさにこれからという段階なのです。
審議は尽くされていません。ですから私たちは、徹底した審議をすることを与党に強く求めたい(拍手)。まかり間違っても、衆院のように与党単独での強行採決などということを、教育の根本の法案の扱いで絶対に再現させてはなりません。徹底審議のうえ廃案にすることを強く求めるものです。(拍手)
たたかいはこれから―参院で必ず廃案に
みなさん、たたかいはこれからです。与党がなぜ衆院でああいう暴挙に出たか。追い詰められたからであります。全国のたたかいによって政府と与党が追い詰められた。もうこれ以上審議したら、ボロボロでやっていけない。ですから彼らは、採決という暴挙に出たわけであります。
それなら、さらに追い詰めようではありませんか。そして必ず、この憲法違反の悪法を、参院の場において葬り去ろうではありませんか。日本共産党は、最後の最後まで頑張りぬく決意をここに表明して、連帯のあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)