2006年10月28日(土)「しんぶん赤旗」
「空港住宅」を民間売却
小林議員が国交省ただす 住民に事前説明せず
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関西国際空港二期工事や神戸空港建設に多額の税金を投入する一方、空港の騒音対策事業に協力した人たちが暮らす「空港住宅」は民間に売却する――。日本共産党の小林みえこ議員は二十六日の参院国土交通委員会で、国民の視点にたたない国交省や同省の独立行政法人「空港周辺整備機構」の姿勢をただしました。
小林氏は、関空の有利子債務の減少額が国交省試算の千二十四億円(二〇〇六―〇八年度)を大きく下回り、四百九十五億円(会計検査院試算)となっていること、〇六年で三百十九万人とされている神戸空港の利用者見込みが八月末で百四十七万人であることを示し、「過大な予測で破たんを招きかねない」と批判しました。
国交省が無駄な税金投入を続けるなか、「空港周辺整備機構」は昨年末、大阪・兵庫の「空港住宅」を住民に事前の説明もなく、民間不動産会社に売却しました。小林氏は、不動産会社が戸別訪問で立ち退きを迫ったり、家賃滞納もないのに入居者の保証人にまで電話している事例を示しました。
冬柴鉄三国交相は、閣議決定した「特殊法人整理合理化計画」にのっとって住宅の早期処分を実行したと答弁。小林氏は、同計画には全棟一括処分が明記されておらず、独立行政法人通則法では変更する場合は大臣が認可し公表しなければならないと規定していることに反すると指摘しました。冬柴国交相は「(民間業者と入居者の)民・民で話し合い、解決してほしい」と責任を放棄する立場を示しました。
小林氏は「住民が現に入居している住宅を商慣行で売却を行ったとする機構の説明は問題だ。政府が住生活の安定・確保をかかげるのなら、住民の意向が尊重されることが一番大事だ」と主張しました。