2006年10月21日(土)「しんぶん赤旗」

数値目標が いじめ隠す

「発生ゼロ」以外受けつけぬ教委も

石井議員 「押しつけやめよ」

衆院委


 相次ぐいじめを苦にした子どもたちの自殺――。日本共産党の石井郁子議員は二十日の衆院文部科学委員会で、文科省への「いじめ」報告件数が実態からかけ離れている点を取り上げ、その背景に「数値目標」が押しつけられている問題をただしました。


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(写真)質問する石井郁子議員=20日、衆院文部科学委

文科相「調査する」

 文科省の全国調査でいじめによる自殺の件数が一九九九年度以降ゼロとなっており、「あまりにも実態離れしている」と伊吹文明文科相も認めました。石井氏は、なぜ実際と離れた報告がされるのか、その具体例として新潟市でのいじめ調査をあげました。学校が教育委員会に提出する平成十八年度(二〇〇六年度)の「学校評価資料」と「学校訪問資料」です。「学校評価資料」では、評価基準としてABCDの四ランクを定めています。(図)

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(写真)石井議員が示した新潟市の学校評価資料。1は「いじめ」の評価基準、2は「不登校」の評価基準

 この評価資料では、年度当初の目標を「いじめ発生件数が0件」としないと教育委員会は受けとりません。九月末と年度末の評価でも「A=0件」に〇をつけて報告する仕組みになっています。

 「数値目標」を押しつけることでいじめの実態が隠されてしまっており、伊吹文科相も「実態と違う数字を出しているのは否定できない」と答弁しました。

 石井氏は「これは、組織的な『いじめ』隠ぺいではないか」と指摘。この背景に、いじめを「五年間で半減」などを「具体的な政策目標の例」としてかかげた中央教育審議会答申(〇三年三月)があると述べ、「数値目標」設定の見直しを求めました。

 伊吹文科相は、「事実隠ぺいに問題がある。要は校長、教頭、教育委員会の人間力」などと答弁。一方で「(数値目標で)どういう問題が起こったか、掲げていないところではどうだったか一度調べさせていただく」と約束しました。

 石井氏は、「いじめ問題は過度な競争教育、学校評価など教育のあり方の根本が問われている問題だ」と、委員会での集中審議を行うことを提案しました。


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