2006年10月16日(月)「しんぶん赤旗」
北朝鮮制裁決議
「周辺事態」適用は乱暴
TV朝日系 小池政策委員長が主張
日本共産党の小池晃政策委員長は十五日、テレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に出演し、核実験実施を宣言した北朝鮮への経済制裁を決めた国連安保理決議や、同決議に盛り込まれた北朝鮮船舶などへの「貨物検査」への日本の対応などについて、各党の政策責任者と討論しました。
平和的解決貫け
小池氏は、安保理決議について「歓迎したい。非軍事的措置で解決をめざすことを全会一致で決めたことは大きな意味がある」と述べました。
「貨物検査」への日本の対応について、自民党の中川昭一政調会長は、「周辺事態法」に基づく「船舶検査」を「必要があれば、日本もやる」と表明。これに対し小池氏は「すぐに『船舶検査』だという議論になるが、国連安保理決議の表現は極めて抑制的だ」と述べるとともに、同決議が北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の参加国(北朝鮮、中国、韓国、米国、日本、ロシア)に緊張を激化させる可能性がある行動を慎むよう求めていることを指摘。「ただアメリカが(『貨物検査』を)やるからそれを手伝うんだという議論ではなく、国際社会は、戦争には絶対ならないように、平和的な解決を求めたのだから、日本もそういう立場をとことん貫くべきだ」と強調しました。
さらに「貨物検査」への日本の参加や米軍への後方支援の法的根拠として、「周辺事態法」や「船舶検査法」を適用できるかどうかに議論が進み、中川氏は「今の状況は(同法の発動要件である)『周辺事態』に該当する」と発言しました。
これに対し小池氏は「『周辺事態法』の時の議論は、対岸で戦火が上がっているような有事、戦争が前提だった。今起きている事態は『周辺事態法』の『(周辺)事態』とは全く違う」と強調。「『周辺事態法』は日本とアメリカとの共同行動を前提としている。その法体系の中に、いま国連全体で協力してやろうとしていることを、無理やり当てはめることはあまりにも乱暴だ」と批判しました。公明党の斉藤鉄夫政調会長も「『周辺事態』にあたるというのは拡大解釈にすぎる」と述べました。
核武装論を批判
日本の核武装論について司会の田原総一朗氏が「核保有国がドミノ的に広がっていった場合、日本は核を保有するのか」と提起。中川氏は「非核三原則は守るが、議論は大いにしないといけない」と、議論を当然視しました。
これに対し小池氏は「今こういう事態になって、核兵器に対して核兵器を持って対抗するというエスカレーションでは恐怖の世界になっていくことが明らかだ」と批判。「アメリカは核兵器を持っている以上、核を持つことが悪だという主張はできない。日本は唯一の被爆国として核を持たないからこそ、核をなくそうという主張ができる。日本としての役割が果たせる」と主張しました。
周辺事態法 「周辺事態」に際して「日米安保条約の目的の達成に寄与する活動」をしている米軍に対し、自衛隊が補給や輸送、修理・整備などの「物品及び役務の提供」=後方支援を行うことを定めた法律(一九九九年成立)です。発動要件である「周辺事態」については「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と定義しています。
船舶検査法 「周辺事態」に際して、国連安保理決議または旗国(船籍国)の同意に基づいて、自衛隊が船舶の積荷や目的地を検査し、必要に応じて船舶の航路や目的地の変更を行わせること(船舶検査活動)を定めた法律(二〇〇〇年成立)です。船舶検査活動をする自衛隊が、同様の活動をしている米軍に対し補給や輸送などの後方支援を行うことも規定しています。