2006年10月7日(土)「しんぶん赤旗」
自立支援法
障害者から福祉遠ざける
利用の調整2割超
NPOが全国調査
NPO法人大阪障害者センター障害者生活支援システム研究会は六日、障害者自立支援法の全国影響調査の結果を発表しました。同法の原則一割の応益負担について、約五割の人が「このままでは負担し続けられない」と回答。障害のある人たちが必要不可欠な福祉・医療から遠ざけられる実態が浮き彫りになりました。
同研究会は、社会福祉研究者らがつくるもの。調査は、障害者の小規模作業所などでつくるきょうされん、全国障害者問題研究会、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)が協力。本人が記入したり、施設関係者が本人から聞き取るなどの形で、二千二百九十六人がアンケートに答えました。
それによると、同法施行前には34・3%の人が利用料負担がなかったのに対し、施行後に負担がないのは11・1%と減少。五割を超える人が月一万円以上の負担増となっていました。
対応を聞いたところ、二割を超える人が利用量・日数を調整していると回答。通院回数を調整している人も5%を超えました。
今後のサービス利用(複数回答)については、「利用制限で本人の状態悪化が不安」が30・5%、「縮小せざるを得ないが不安」が29%でした。「利用制限」では、生計中心者の所得が八十万円未満で、平均より高い34・5%に上りました。
厚生労働省内で記者会見した、同研究会の山本敏貢大阪千代田短期大学副学長は「低所得者ほど生活していく上で大切な福祉制度が受けにくくなっており、制度が低所得者の生活を脅かしている」と話しました。
今後は、今回協力した団体が加盟してつくる日本障害者協議会や全日本ろうあ連盟、障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会などでつくる実行委員会が主催し三十一日、日比谷野外音楽堂などで集会を開き、応益負担の凍結などを求めていく予定です。