2006年9月12日(火)「しんぶん赤旗」
安倍氏の改憲発言
戦後の出発点否定
会見で市田書記局長
日本共産党の市田忠義書記局長は十一日、自民党総裁選に立候補している安倍晋三官房長官が、解釈改憲で集団的自衛権行使を狙う発言を繰り返していることを厳しく批判しました。
市田氏は、これまで政府が(1)海外で武力行使するための海外派兵はできない(2)集団的自衛権の行使はできない(3)武力行使を目的とした国連軍には参加できない―の三点をあげて、自衛隊が、憲法の否定する「戦力」ではないと言い訳してきたことを述べました。
そのうえで安倍氏の主張する解釈改憲による集団的自衛権行使について、改憲に時間がかかるから解釈を変えようというものだと指摘。米国が「テロとのたたかい」という「長い戦争」(ロング・ウオー)のために、同盟国を動員する戦略を持っていることを挙げ、「究極の解釈改憲によって、アメリカが世界でやろうとするイラクへの侵略戦争のような行動に、日本も武力でともに参加しようというものだ」と批判しました。
また市田氏は、安倍氏が「(憲法を変えてはならないと)考えること自体が、ある種のマインド・コントロールで、アナクロニズム(時代錯誤)だ」などと主張していることを批判しました。
このなかで、侵略戦争への反省から国連憲章と現憲法が生まれたこと、安倍氏がかつての日本の「植民地支配と侵略」に「おわびと反省」を明確にした一九九五年の「村山談話」の踏襲を明言していないことを挙げ、「憲法の根本精神を根底からくつがえして構わないというもの。おそるべき戦後日本の出発点の否定で、非常に危険な考え方だ。こういう人物が日本の総理になるということは、その資格が問われる重大問題だ」と述べました。