2006年8月30日(水)「しんぶん赤旗」

佐渡(新潟)の集配局問題

廃止されたら、新鮮な海・山の幸が届けられない

“サービスは維持します”

吉川議員に公社約束


 日本郵政公社による集配局の廃止で地域振興に大きな障害を招くことが懸念されていた新潟県佐渡市について、郵政公社は二十九日、本土と結ぶ汽船のダイヤはじめ関係機関と調整して、現状のサービスを維持することを明らかにしました。(四ケ所誠一郎)


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(写真)質問する吉川春子議員=29日、参院総務委

 日本共産党の吉川春子参院議員が現地調査に基づき、サービス低下の事例を具体的に示して追及したことに答えました。同時に、信越支社管内の二十八局について、九月からの実施を来年三月まで延期する考えであることを明らかにしました。

 吉川議員が、明らかにした新潟県の離島、佐渡市(人口六万七千九百七十六人)の事例とは―。

 佐渡市には集配郵便局が十七あります。郵政公社は、このうち六局の集配業務を廃止し、無集配郵便局にする計画です。

 無集配郵便局になると、土曜・日曜、祝日の業務がなくなります。平日は午前八時から午後六時まで取り扱っていたものが、午前九時から午後五時までとなり、郵便・小包の集配、貯金・簡保の集金もしなくなります。(別表

◇翌日着

 この結果、何が起きるのか。吉川議員は、こう指摘しました。

 「佐渡の特産品は、柿、リンゴ、米、アワビ、カキ、ワカメです。午前八時半ころ、郵便局に電話すれば一時間以内に職員が小包の多少にかかわらず集荷にいきます。ゆうパックですね。昼の佐渡汽船のダイヤに間に合うように両津郵便局に運ばれ、夕方には新潟中央郵便局に着く。翌日には、新鮮な海、山の幸が消費者に届きます。それが翌々日になるのです」

 郵便局の業務と地域振興とが相乗効果をもたらしています。佐渡市全体では年間、三十三万個のゆうパックを取り扱い、ドル箱になっています。

 ところが今回の廃止計画によって、両津から赤泊までの海岸線五十キロは集配局がなくなります。(地図

 現在、多田局の場合、午前八時から営業を開始し、農林漁業に携わる利用者から連絡が入ると、一時間程度で集荷、両津港からの午後零時台の船便に乗せることができます。しかし集配業務の廃止によって営業を開始するのは午前九時。船便に間に合わなくなります。

◇悪影響

 地域振興に影響を与える明らかなサービス低下です。このため、高野宏一郎市長や市議会も一致して反対し、撤回を求めています。(1)サービスダウンになり、市民の不平・不満の声が多い(2)集配局は局長が中心になって地域の郵便局として親しまれている(3)農林水産物の販売にゆうパックを農林漁業者が利用しているが、不便になれば他の方法に移行する(4)土日、年末年始の利用ができなくなる―などが理由です。

 吉川議員は、こうした事態を指摘しながら、こう要求しました。「今回の計画では、現行のサービスを維持するのはむつかしい。佐渡市が要求している現行サービスの維持のための具体的な方策を示すべきではないか」

 生田正治総裁は「佐渡には問題があるようだ。あす届いていたものがあさってになるようなことがあってはならない。納得してもらえるような最善案を提示したい」と答弁しました。塚田為康常務執行委員も「問題は承知している。汽船のダイヤとの調整を含め、間に合うようにしていきたい」と約束しました。

付帯決議

「万が一にも支障ないよう」

 現在、郵便物の収集・配達、外務業務をしている集配局は全国で四千六百九十六あります。このうち千四十八局の集配業務を廃止し、窓口業務だけの無集配局にしようとしています。しかし、無集配局になると配達エリアの拡大や時間外窓口の閉鎖に伴うサービスが低下します。郵便局員が担っていたお年寄りの見守り、地元自治体との防災協定にもとづく災害情報の提供ができなくなり、まちづくりに支障をきたすと地元自治体から反対の声があがっています。

 昨年国会で自民、公明両党が郵政民営化法案を強行、成立させましたが、国民の大きな反対を前に参院では「現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期する」との付帯決議でサービスの低下を招くことのないよう条件をつけました。

別表

地図

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