2006年8月21日(月)「しんぶん赤旗」

「自立支援」法 高まる批判に

負担増推進の公明党 慌てて「軽減」を要望


 「『自立支援』ではなく『自立阻害』だ」との批判があがっていた障害者「自立支援」法が招いた深刻な実態に、導入した公明党があわてはじめています。

法案審議でも

 公明新聞八月十五日付は「障害者支援法 利用者負担軽減せよ」という大見出しで同国会議員団が「利用者負担の軽減などを求める緊急要望を行った」と報じました。

 まるで最初から反対していたかのような言いぶりですが、昨年十月、障害者の強い批判を無視して自民党とともに「自立支援」法を強行したのは公明党自身。「受けたサービスの対価は支払え」と「応益負担」を導入し、福祉の原理を破壊してきました。

 法案審議でも、公明党は「福祉サービスの持続的な拡大の道を開く重要な改革」(福島豊衆院議員、二〇〇五年十月三十一日衆院本会議)と賛美し、応益負担導入への批判に対し「政治は少し先を見て痛みがあるかもしれないけれども、その痛みをどう克服するかという知恵を出しながら私は取り組んでいく」(桝屋敬悟衆院議員、〇五年十月二十一日衆院厚労委)とのべていました。

 いま障害者福祉の現場からは、四月の「自立支援」法施行以来、大幅な利用者負担増による施設からの退所やサービスの手控え、施設報酬の激減など予想を超える問題の噴出で、障害者と家族、施設関係者から悲痛な叫びが上がっています。

 公明党が「利用者負担の軽減」をいい始めたことで、「自立支援」法の欠陥がいよいよ明らかになりました。

 日本共産党は施行から二カ月となる六月、「支援」法の「実態調査にもとづく緊急要求」を発表。応益負担導入にともなう利用者および事業所の実態調査をおこない、関係者の意見を聞き、法制度の見直し、改善措置を速やかに講じるなど、制度の抜本的改善を求めました。

「改革の成果」

 しかし、公明党の「要望」なるものは、制度の根本的問題点である「応益負担原理」の見直しには何ら触れていません。

 いま公明党は来年のいっせい地方選へ向けて全国で「列島縦断フォーラム」を開催。弱者切り捨ての「構造改革」の「成果」を誇っています。

 六日の夏季議員研修会で神崎武法代表は「来年の政治決戦に向け、公明党の連立7年の実績をどう訴えていくか。社会保障制度改革に伴う負担増の問題などの政治課題についても、国民に理解していただくためにきちんと説明できる力をつけていかなくてはなりません」(公明新聞九日付)などとのべています。

 自ら応益負担制度を導入して利用者と施設を危機的状況に追いこんだ責任についても一言もないまま、「緊急要望」を“実績”として宣伝するつもりなのか――政党としての責任が問われます。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp