2006年8月21日(月)「しんぶん赤旗」
安倍氏の“自虐的教育の是正”
戦後の出発点の否定
市田書記局長が批判
テレ朝系番組
日本共産党の市田忠義書記局長は二十日、テレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に出演し、自民党総裁選の最有力候補となっている安倍晋三官房長官の政権構想について各党代表と議論しました。
司会の田原総一朗氏から「(安倍氏のいう)『自虐的な偏向教育の是正』をどう思うか」と問われた市田氏は、安倍氏が「満州事変」から太平洋戦争にいたる日本の侵略戦争にたいし、「やむをえない面もあったということもいうべきだ」という考え方に立っていると指摘。「これは戦後の世界と日本の出発点の根本的な否定ですよ。(たしかに)東京裁判には、天皇の戦争責任や、東京大空襲、原爆の被害について不問に付すとか、さまざまな弱点もあった。しかし、日本のやった戦争が侵略戦争だったということを断罪した点では積極的な意義があった。それを否定する教育をやるべきだというのは非常に危険な考え方だ」と批判しました。
これにたいし、自民党の片山虎之助参院幹事長は、「日本が善意でやったことや結果としていいこともなかにはあるに違いない。バランスよく教えることは必要」などとのべました。
田原氏は、安倍氏が「憲法の全面改正」や「集団的自衛権行使の容認」を打ち出していることについても各党の意見を聞きました。
市田氏は、「解釈改憲」や海外派兵を進めてきた歴代の自民党内閣でも、海外での武力行使、集団的自衛権の行使は、憲法九条が歯止めになってできなかったと経緯を説明。「そこを超えるために、憲法九条を変えて海外での武力行使を可能にしようというのが安倍さんの考え方だ」と批判しました。
さらに「集団的自衛権の名でアメリカがやったのが(例えば)ベトナムへの侵略戦争だ」と指摘しました。
片山氏は、「集団的自衛権を無制限に認めるということではない。専守防衛風の集団的自衛権」などと言い訳しましたが、市田氏は、「この間の首脳会談で『世界の中の日米同盟』などとし、『同盟』を世界中に広げているではないか」と追及しました。