2006年7月29日(土)「しんぶん赤旗」
米国産牛肉
「輸入再開納得できない」
厚生労働・農水省説明会 批判が相次ぐ
厚生労働、農水両省は二十八日、BSE(牛海綿状脳症)の危険部位除去違反でストップしていた米国産牛肉の輸入再開と、米国の日本向け食肉処理施設の査察結果を消費者らに報告する「説明会」を東京、大阪で開きました。参加者からは「輸入再開は納得できない」「米国が危険部位除去や月齢の輸入条件を守れるのか」などと米国産牛肉への不安の声が相次いで出されました。
東京都港区の会場には約三百人が参加。消費者団体のメンバーらが「米国の十四の食肉処理施設で不備が見つかったのは重大なものとして受けとめるべきだ」「書類不備でなぜ米政府の対日輸出認定が受けられるのか」「日本向け輸出プログラム(条件)自体が虚構だと思う。システムが不完全で厳格に守る姿勢が感じられない」「なぜ輸入再開を急ぐのか」と訴えました。
国民との意見交換会が米政府への再開決定の通知(二十七日)よりも、後回しにされたことに抗議する声も出ました。
厚生労働省の松本義幸・食品安全部長、農水省の中川坦消費・安全局長らは、今後六カ月間は条件順守の検証期間として、米政府は新たに施設認定をおこなわず、日本側は水際検査で業者の協力を得て全箱確認することを説明。すでに国内の港の倉庫に保管されている米国産牛肉約千トンについても当面通関手続きを見合わせるほか、牛肉や加工品、外食産業での原産地表示をすすめると報告しました。
二十七日の会見で川崎二郎厚生労働相がBSE危険部位が混入する違反が見つかった場合、ふたたび全面停止すると明言したことについての質問もありました。輸入条件順守の実効性への疑問が解消されないまま、米国産牛肉輸入再開を決定した政府の責任を問う意見が出ました。
米産牛肉輸入再開決定に抗議
国民の声聞く姿勢がない
全国食健連
労組や民主団体が参加する全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は二十八日、アメリカ産牛肉の輸入再開決定に抗議する坂口正明事務局長の談話を発表しました。
事前査察を説明する前に政府が決定したことについて、BSEの危険を心配する国民の声を聞く姿勢がないと批判。水際で全箱検査をする政府方針について「民間人でしかも食肉の専門家でもない輸入業者で代替できるとする感覚そのものが信じがたい」と、政府の姿勢を追及しています。
日本と同等な安全対策、原産国の全面表示がないと食の安全行政そのものの崩壊につながりかねないとのべています。
食の安全への責任を放棄
農民連
農民連(農民運動全国連合会)は二十八日、米国産牛肉の輸入再開決定にたいし抗議し撤回を求めるとの佐々木健三会長の談話を発表しました。
再開はアメリカの圧力に屈して食の安全への責任を放棄するものであり、対米従属の自民党政治では国民の食の安全を守る権利がいかにじゅうりんされるかを如実に示していると指摘。全頭検査や危険部位の全頭除去、肉骨粉の禁止をする日本と同等の安全対策を米国にとらせることを改めて要求しています。
農民連として国民の期待にこたえ、安全な農畜産物の生産に全力をあげると表明しています。