2006年7月24日(月)「しんぶん赤旗」
障害者施設
運営危機、廃業検討も
厚労省調査 自立支援法施行で
厚生労働省が都道府県と政令・中核市を対象に行った障害者自立支援法施行状況調査では、国から施設に支払われる報酬単価の切り下げや、支払い方式の変更で、「九月末で廃業を検討している事業所もある」(鳥取県)などと、運営が立ち行かなくなっている障害者施設があることが分かりました。
東京都は、事業者の運営状況について「大きな減収につながっている」と回答。報酬単価の支払い方法がこれまでの月額から、日額に変更された影響をあげました。
また日額方式の影響として「法施行以前は施設の入所者が医療機関に入院した際には、入院先からの要請によって、施設職員が一日一回程度入院先まで行き、身の回りの世話をすることがあった。施行後はできないというケースがある」とのべています。
大阪府は、主な障害者施設(九十九施設)の昨年四月収入実績と今年四月を比較。おおむね百万円を超える減収になっているとして、「施設関係者からも『運営していけない状況である』と懸念の声が上がっている」と回答しています。
「多くの事業所は、減収分を人件費削減(人員削減、パート化等)で対応しようとしている」(長野県)との指摘もあり、「現行の報酬単価ではサービスの質を落とさず運営することが難しいので、保障をしてほしい」(福岡県福岡市)「適切な運営ができるような、報酬、単価の改正をお願いしたい」(新潟県新潟市)などの要望もあります。
「運営費や在宅サービス等について、独自事業などを展開できない市町村の障がい福祉施策は、壊滅するのではないでしょうか」。自立支援法の下ですべての障害福祉サービスや事業が新しくされ十月から移行が始まるなか、大分市の担当者は国と地方の新事業への負担割合について、危機感を募らせています。
このほか公正な障害程度区分認定を行う上で不安や困難があること、低い単価や補助金が少ないため、小規模作業所などが新事業への移行ができないとの声が報告されています。