2006年7月24日(月)「しんぶん赤旗」
障害者施設
負担増え退所や利用減
自立支援法の施行後過半数の都道府県で
今年四月に施行された障害者自立支援法で、原則一割の応益負担が導入され利用者負担が増えたことに伴い、過半数の都道府県で障害者の施設退所またはサービス利用の中断・手控えが起こっていることが厚生労働省の調査で二十三日、明らかになりました。日本共産党の井上哲士議員が参院決算委員会で同法施行後の実態を調査するよう要求、小泉首相が「調査する必要がある」と答えていました。
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回答を開示した四十一都道府県、四十八政令・中核市のアンケートによると、負担増による障害者の施設退所または利用の中断・手控えが起こっていることを独自の調査などで認識している自治体は二十六都府県に上りました。政令・中核市では二十四市。
宮城県は厚労省調査前の六月初旬に独自調査を実施。二十七人が入所や通所の施設を退所していることがわかりました。ホームヘルプなど福祉サービスも九人が利用を中止。施設利用を合わせ八十人がサービスの利用回数を減少させました。担当者はアンケートに「低所得者対策を恒久的な仕組みとして制度化するよう要望を行っていく」と記しました。
三重県も独自に調査を実施。二十七人が退所し、三十六人が利用回数を減らしていました。
山口県は施設に対してアンケート調査を行いました。十施設で利用者が減少。「サービス利用を控えたが、利用者負担が増えた」「障害がある子どものために貯金していたため、個別減免が受けられない」などの利用者からの意見が寄せられています。
回答した都道府県の半数以上は、自立支援法施行後の独自実態調査を実施中や未実施のため、実際はさらに多くの自治体で利用を断念した障害者がいるとみられます。
厚労省によると、同調査は六月中旬、四十七都道府県と五十一政令・中核市を対象に実施。同法施行後のサービスの利用状況や事業者の運営状況などを聞きました。開示を拒否した自治体もありました。
今回明らかになった調査結果は、日本共産党の小池晃参院議員の資料要求に厚労省が回答したものです。