2006年7月19日(水)「しんぶん赤旗」
サラ金 灰色金利撤廃へ(下)
大門参院議員に聞く
抜け道ない法改正を
――与党の方針で問題点は。
大門 貸金業界もまき返しに必死で、政界工作をしています。雑誌『金融財政事情』(七月十七日号)は「上限金利引下げに慎重な議員から怒号が飛び交う」なか、合意したと自民党小委員会の様子を報じています。
「特例」の背景
与党合意文書のなかでは考慮すべき点として「少額短期等の特例」をあげています。その理由は「少額短期の貸し付けであれば、借り手にとってある程度高い水準であっても負担となりにくい」というものです。「少額」がいくらかは定かではありませんが、サラ金利用者の一社あたりの平均借入額は約四十万円です。それらが含まれれば、「特例」でも何でもない、現状と何も変わらないということになりかねません。
――「特例」の背景には貸金業界の強い主張があるのですか。
大門 そうです。「金利が大幅に下がれば、貸し倒れリスクの高い借り手(低所得者)には貸せなくなり、ヤミ金融に向かう」というものです。業界がしきりにいっているもので、高金利は貸し倒れリスクに備えたもので、引き下げると貸し付け時の審査を厳しくせざるを得ず、正規の業者から借りられない人たちが増え、結果的にヤミ金融の犠牲者が増える―という議論です。
しかし、そもそもヤミ金融は犯罪ですから、根絶されるべきもので、それを前提にした話は成り立ちません。彼らのいう「リスク論」も間違いです。
悪循環を断つ
現状は、高金利で貸すから返済しづらくなって、さらに貸し倒れリスクが高まるという悪循環に陥っている。利息を三割近くとったら当然そうなります。逆に高金利を引き下げれば返済、完済する人が増えるわけですから貸し倒れリスクも低まります。いまこそ業界のあり方を真剣に見直すことが必要だと思います。
また、利息制限法を20%に一本化する意見もあります。現在は利息制限法で借入金額によって金利は三段階になっていますが、それをいちばん高い20%に引き上げるなどは論外です。
こうした「抜け道」は絶対に許してはなりません。
貸金業そのものは別に悪とは思いません。庶民への緊急融資は必要な部分があります。それは健全で国民のニーズに適正にこたえてこそ発展があると思います。国会質問のなかで金融庁の後藤田正純政務官が、個人向けの政策金融やセーフティーネットの必要性に言及しましたが、そういうことも必要になってくると思います。
高金利引き下げは大きな流れになっています。サラ金被害者を根絶するために、抜け道を許さない法改正へ、世論と運動をいっそう強めていく必要があります。(おわり)