2006年7月14日(金)「しんぶん赤旗」
75歳以上の新医療制度
広域連合設立日程示す
厚労省
厚生労働省は、医療改悪法で新設した「後期高齢者医療制度」の具体化をすすめています。十日の都道府県担当者会議では今後のスケジュールを提示し、九月までに設立準備会をつくるよう求めました。
同制度は、現在の「老人保険制度」を廃止し、七十五歳以上の高齢者を対象に独立した医療制度をつくるというもの(六十五―七十四歳の寝たきりの人なども含む)。加入者は約千三百万人を想定し、二〇〇八年四月にスタートさせる予定です。
保険料(全国平均六千二百円)は、七十五歳以上のすべての高齢者を対象に年金からの天引きなどで徴収するとしています。
一部で減免措置をとりますが、いままで七十五歳以上には適用してこなかった滞納者にたいする保険証取り上げの「ペナルティー」も実施するため、「高齢者から容赦なくとりたてる制度」と批判されています。
保険料徴収は市町村が実施。財政運営は、都道府県ごとに全市町村が加入する広域連合がおこなうことになります。
厚労省は広域連合を〇七年三月までに設立する目標を設定。それに向けた準備委員会を九月までに全都道府県で設置することを求めました。(十日現在の設置は広島、滋賀、長崎の三県)
厚労省の描く日程では、今年十二月の市町村議会で広域連合設立規約などを議決。来年二月の市町村議会で広域連合議会選挙を実施するなどして、十一月までに保険料条例を決め、〇八年四月施行をめざしています。
広域連合の議会について、厚労省は(1)関係市町村長や助役(2)関係市町村の議員(3)市町村長と議員の組み合わせ――などのモデルを示しています。広域連合議会は保険料や減免措置を決めていく大事な機関ですが、現在のままでは後期高齢者の意見が十分反映する保障はありません。今後、各自治体では住民の声を届ける仕組みにする必要があります。
また同制度では「後期高齢者の心身の特性等にふさわしい診療報酬体系を構築する」としています。これは、高齢者にかかる医療費を抑制するための「差別医療」につながるおそれがあります。厚労省は、この独自の診療報酬の検討の場を今年秋にも設置し、来年秋までに基本方針を策定する予定です。「高齢者いじめ」の診療報酬にしないための監視と運動が今後重要になっています。