2006年7月8日(土)「しんぶん赤旗」
トンネルじん肺訴訟
切実な思い 実る
原告団など声明 国に協議の場要求
全国トンネルじん肺根絶原告団と同弁護団、全日本建設交運一般労働組合は七日、東京地裁が国の賠償責任を命じた全国トンネルじん肺根絶訴訟の勝訴判決をうけ、声明を発表しました。
声明は「(判決は)規制権限の不行使の責任を厳しく断罪するもので、じん肺根絶の闘いにとって極めて大きな意義があり、高く評価することができる」とし、「じん肺患者と遺族たちが、じん肺を根絶したいとの切実な思いで、団結して闘った成果である」とのべています。
また「トンネルじん肺は過去の問題だけではなく、現在、さらには将来の問題である」。「トンネル工事の発注者であり、じん肺防止の行政責任を負っている国は本判決を契機に、私たちとの協議の場を設け、これまでのじん肺防止の施策を抜本的に見直し、粉じん則等の改正整備に着手すべきである」とのべています。
国は控訴断念を
仁比議員
国会で粉じん作業の実態を告発し是正を迫ってきた日本共産党の仁比聡平参院議員(党国会議員団じん肺対策プロジェクトチーム事務局長)は、次のように語りました。
「新幹線や高速道路など国策としてすすめられるトンネル公共事業で、労働者はゼネコンを頂点とする重層下請け構造のもとで働かされ、今日なお多数のじん肺患者が発生し続けています。じん肺患者とご家族の苦しみは悲惨を極めています。政府が、『おれたちを人間として扱え』の声に応えて控訴を断念し、じん肺とすべての労災職業病の救済と根絶の立場に立つことを、強く求めます」
解説
現在・将来の救済に光
七日の東京地裁判決が国の責任を断罪したことは、過去のじん肺被害の賠償認定にとどまらない大きな意義をもっています。
公共事業のトンネル工事などで、現在でも多数のじん肺患者が生まれ、労災認定を受けています。療養が必要な重症のじん肺患者のうち、トンネル建設作業員は一九七八年から二〇〇四年までに九千人余にのぼります。ところが、国は現在も作業現場で、粉じん測定・評価すら義務付けないまま危険な労働環境のもとで働かせています。
トンネル工事の発注者であり、じん肺防止の行政責任を負う国が、これまでのじん肺防止対策を見直し、省令や規則の改正に着手することは「待ったなしの緊急課題」です。