2006年6月26日(月)「しんぶん赤旗」
水門開放しか解決ない
低い費用対効果 諫早干拓シンポ
国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)で二回目の「時のアセス」(五年ごとの事業再評価)がすすむなか、「市民による時のアセス」で有明海や長崎県の未来を考えようと二十五日、長崎市でシンポジウム「諫早干拓『時のアセス』二〇〇六―水門開放を求めて」が開かれました。講演やパネル討論で、調整池の水質問題や漁業と事業の関係、事業の採算効率、代替案などが検討されました。
有明海漁民・市民ネットや「よみがえれ!有明海」訴訟を支援する全国の会など四団体主催。約二百人が参加しました。
元中央水産研究所の佐々木克之氏は「調整池の水質悪化と排水門開門の必要性」をテーマに講演。漁業被害や調整池浄化対策の資料を使い、「調整池汚濁の原因を無視した対策が有明海再生に寄与しないのは当然」「自然の力に従った水門開放しか解決の道はない」と解明しました。
「諫早湾干拓の費用対効果」について宮入興一愛知大教授は、農水省が算出した費用対効果(事業効率)「〇・八三」は、災害防止効果などを過大評価し、干潟浄化力を失った損失や漁業被害などは計算されていない。「私の推計では控えめでも〇・一九」と強調。「(事業は)最低合格点百点の試験で八十三点どころか、十九点しかとれていないのに『卒業(完成)させろ』と強弁している」とのべました。