2006年6月23日(金)「しんぶん赤旗」

米産牛肉輸入再開

事前調査 形ばかり

プリオン調査会座長 「エラーおこりうる」


 ことし一月にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位除去違反がみつかった米国産牛肉の輸入再開問題で、二十二日に開かれた内閣府食品安全委員会とプリオン専門調査会で、農水・厚生労働両省は二十一日の日米合意の概要を説明しました。危険部位除去や月齢判定などで「ヒューマンエラーはおこりうる」という前提で、再開を合意しており、完全に条件が順守されることを仮定して、米国産牛肉の評価をおこなった食品安全委員会の答申とも矛盾することが明らかになりました。

 両省は、条件の一つである事前調査について、「生後三十カ月以上でおこなわれている特定危険部位の除去をデモンストレーションしてもらう」「月齢確認は書類に依存するしかない」と説明。水際検査は「事業者が箱をあけてしらべ、その結果を行政が確認する」とのべ、形ばかりの調査にすぎないことが明らかになりました。

 輸入再開に慎重な意見を表明していた六人の委員が三月末に辞任することになったプリオン専門調査会の会合は一月以来、五カ月ぶり。座長に再選された吉川泰弘東大教授は「米国産牛肉のリスクを評価したものとして、無視できないエラーがあれば評価はなりたたない。リスク管理機関(厚生労働、農水両省)は、米国報告に(危険部位除去違反の)構造的な問題があるのか、あるいは一施設の問題なのかを説明する責務がある」と指摘。説明を求めましたが、両省は一言もこたえられませんでした。

 吉川座長は「(危険部位除去などで)ヒューマンエラーは今後もおこりうる」といわざるをえなくなり、今回の輸入再開が食品安全委員会の答申とも矛盾する合意となっていることを浮かび上がらせました。


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