2006年6月21日(水)「しんぶん赤旗」
米国産牛肉
輸入再開へ日米会談
事前確認調査など対応協議
BSE(牛海綿状脳症)危険部位の除去違反がわかり米国産牛肉の輸入が停止している問題で、政府は二十日午後、米国農務省のランバート農務次官代理とテレビ電話で局長級会談を夜遅くまで行い、日本が牛肉輸入再開を決定する前に、米国の対日輸出施設に確認調査を行うことなどの追加的対応について話し合いました。
米側は早期の再開決定を求めていますが、農水省は本紙に「この会談で輸入再開するかどうかや、時期を合意するものではない。あくまで事前の確認調査をしたうえでの判断」と説明しました。政府は、二十九日に予定されている日米首脳会談前に事前確認調査に着手する方針です。
日本政府が提示したのは、(1)食肉処理施設の事前確認調査の実施(2)米国の抜き打ち監査に日本側が同行する(3)日本の検疫所での検査強化(4)米国内の対日輸出施設ごとに出荷可能な牛肉部位の情報提供(5)事前確認調査後に日本で一時保管している米国産牛肉の輸入手続きの再開――など。しかし、対日輸出の実際の作業で、BSE対策の信頼性とその担保を直接確認するものとなっていません。
昨年十二月に日本が行った食肉処理施設の「査察」では、米農務省に認証をうけた日本向け牛肉条件を担保する品質管理(QSA)プログラムなどが、大手業者のカーギル社、タイソン社、ナショナル・ビーフ社などで「社外秘のため入手できず」、そのうえ現場の概要も米政府の意向で一―三ページが黒くぬりつぶされ非公開にされていました。
六月に全国十カ所で実施した政府の意見交換会でも、こうした「査察」の実態や追加条件などにたいして「米国いいなりの再開」「日米首脳会談を配慮し、食の安全より米国を優先する政治的判断だ」と批判の声が続出していました。