2006年6月9日(金)「しんぶん赤旗」

改憲案とりまとめ一気に

憲法審査会の狙い

手続き法案 国会に常設機関


 今国会に提出された改憲手続き法案には、国民投票法制とともに、国会法改定が盛り込まれています。その中に規定されているのが、「憲法改正原案」を「審査」するための常設機関として国会に設置する「憲法審査会」です。手続き整備の名のもとに一気に改憲案のとりまとめ機関を国会に設置しようという危険な狙いがあります。(中祖寅一)


 改憲の要件は憲法九六条が規定していますが、これまで国民投票法制とともに、国会の改憲発議手続きも定められていませんでした。「憲法審査会」は、この改憲発議の中心を担う常設機関として設置されようとしているのです。

 審査会は、国会が国民に対して発議する「憲法改正案」の元になる「憲法改正の原案」を審議・決定します。

 つまり、憲法審査会は具体的な改憲案の論議をとりまとめ、発議にもっていくための機関ということです。

 しかも、国民投票法制は公布から二年経過後に施行されるのに対し、憲法審査会は改憲手続き法が成立した国会の次の国会から活動できるとされています。

 自民党の甘利明衆院議員が一日、衆院本会議での法案趣旨説明に対する質問で「手続きについての議論もいいですけれども早く憲法改正の中身についての議論に入っていただければ」とのべたように、自公民三党で来年にも改憲案の調整作業を始めたいとの思惑があります。

 憲法審査会の設置は、国会に提出されている改憲手続き法案が、具体的な改憲に直結していくものであることを示しています。

 これまで国会には、二〇〇〇年に憲法調査会が設置されましたが、法案の審査や提出の権限はなく、「調査」にとどまりました。改憲原案を決定できる憲法審査会が設置されれば憲法施行後初めて、憲法にかかわって法案提出権をもった委員会が設置されることになるのです。

 与党案と民主党案で、憲法審査会の設置に関する部分はほとんど同じ内容になっています。

 このことは、改憲案とりまとめのための常設機関の早急な設置という点で、与党と民主党との間に認識の違いがないことを示しています。

 その中で、施行時期を成立後初めて開かれる国会からとする点は、与党が法案の単独提出に踏み切り、民主党が対案を出すという流れの中で、両者が歩調をそろえる形で出てきたもので、衆院憲法調査特別委員会でさえ、全く議論されていません。

 国民が知らない間に改憲案のとりまとめ機関を国会に設置するなどということは絶対に許されません。


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