2006年6月1日(木)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪
与党検討会に政府要綱提示
文科相が認める
議事録提出 石井氏要求
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日本共産党の石井郁子議員は三十一日、衆院教育基本法特別委員会で、三年間密室協議を続けた「教育基本法改正に関する与党検討会」について「与党と文部科学省の共同作業であり、文科省として説明責任がある」と指摘し、政府に対し「検討会」の議事録の提出を求めました。
小坂憲次文科相は「文科省として、検討会の求めに応じて仮要綱を提示したことはある」と与党検討会と文科省の深いかかわりを認め、政府に説明責任があることが明らかになりました。
安倍晋三官房長官は「幹事長として与党協議に参加したこともある。極めて広く深く議論をしていた」と述べ、石井氏は「それなら、なおさら資料提出は不可欠だ」と重ねて要求しました。
「検討会」は七十回に及ぶ会議を開き、法案の一字一句まで検討してきましたが、資料や議事録は明らかにされていません。政府の教育基本法改悪法案は与党検討会の四月の最終報告とほとんど同じです。
野党の再三の要求で、与党は二十六日の同委理事会に資料を提出しましたが、内容は「第一回〜第十回 現行法各条文についての議論。論点整理」などとおおざっぱなもので、どのような議論で改悪法案の条文ができたのか全くわかりません。
石井氏は「教育基本法制定以来の大改定でありながら、あまりにも国会軽視だ」と批判。現行基本法を立案した一九四六年の「教育刷新委員会」とは対照的だと指摘しました。刷新委の議事録は公開・復刻され、どのような議論を経て法律になったかがわかるようになっています。
「与党協議会のことは申し上げる立場にない」と繰り返す小坂文科相に対し、石井氏は、検討会の保利耕輔座長(当時)が行った記者会見のメモを読み上げ、「与党の検討会に文科省も加わって、そのつど論点整理、資料の整理、法案整理をしていた」と指摘しました。
「愛国心」通知表の背景に文科省通知
また、石井氏は「愛国心」を評価項目に盛りこんだ「愛国心」通知表が埼玉で五十二校、岩手、茨城でも使われている問題をとりあげ、その背景に文科省の通知があると指摘しました。
学習指導要領改定で小学六年社会科の目標に「国を愛する心情を育てる」と書き込んだのを受け、二〇〇一年四月に文科省は「小学校児童指導要録、中学校指導要録、等の改善等」に関する通知を作成。「学習指導要領に示す目標に照らして、その実現状況を評価することに改める」と全国に通知、「指導要録に記載する事項」として「国を愛する心情」を示しています。
石井氏は「愛国心評価をやめさせるにはこういう通知をやめる以外にない」と追及。「学習指導要領でおきている困難が今度は法律に格上げされる。いっそう強制が働くようになる。改悪法案は撤回以外にない」と主張しました。