2006年5月27日(土)「しんぶん赤旗」
改憲手続き法案
自民・公明が国会提出
民主も「対案」
自民、公明の与党は二十六日、憲法改悪のための国民投票制度と国会法の一部改定を含む「改憲手続き法案」を国会に提出しました。提出は、憲法施行以来五十九年、初めてのことです。民主党も同日、国会に「対案」法案を提出しました。
法案提出後、自民党の保岡興治・衆院憲法調査特別委員会筆頭理事は、「今国会成立を目指して全力をあげる」と語りました。民主党との「修正」合意についても「国会での議論を通じて、相違点の解決をはかる」とのべました。
与党案は、改憲のための国民投票について、(1)投票権者は二十歳以上とする(2)白票は無効票とみなし、改憲案の承認に必要な「過半数の賛成」の分母は、有効投票総数とする―などと改憲のハードルを低く設定。公務員・教育者の「地位利用による国民投票運動」を罰則つきで禁止することを明記しています。
また、国会法改定では、衆参各院に、改憲原案を審査、提出できる「憲法審査会」を設置するなど発議の手続きを定めています。
民主党案は、改憲以外の国民投票を含めており、投票年齢を十八歳以上(改憲の場合は、国会の議決で、さらに十六歳まで引き下げ可能)としました。
自民党は、昨年十一月「新憲法草案」を発表。アメリカの先制攻撃戦争に参戦するため、「自衛軍の保持」の明記や「国際協調」を口実に海外での武力行使を可能にする九条改憲の方針を明確にしています。改憲手続き法案は、その条件づくりをするためのものです。
与党は、六月一日の衆院本会議で趣旨説明と質疑を行う方針です。
撤回を求める志位委員長
日本共産党の志位和夫委員長は二十六日、国会内で記者会見し、与党と民主党がそれぞれ国民投票制度を含む改憲手続き法案を提出したことについて記者団に問われ、「会期末まであと三週間という段階で、憲法にかかわる重大な法案を出してくるというやり方そのものが許されない。憲法改定に地続きでつながっている問題であり、会期末のどさくさにまぎれて出し、強行することは許されない」とのべました。
志位氏は、改憲手続き法案が、単なる形式的な法制整備ではなく、憲法九条を変えて、日本を「海外で戦争をする国」につくりかえるという目的につながっていると強調。「私たちは絶対に反対だ。こういう形で国会に提出することは、やり方の上でも許しがたいものであり、撤回を強く求めたい」とのべました。