2006年5月12日(金)「しんぶん赤旗」
米軍再編「最終報告」に対する
赤嶺議員の代表質問(大要)
衆院本会議
日米両政府が合意した米軍再編「最終報告」に対し日本共産党の赤嶺政賢議員が十一日の衆院本会議で行った代表質問(大要)は次の通りです。
政府は米軍再編について、「抑止力の維持」と「負担の軽減」が基本方針だと説明してきました。しかし今回の合意が沖縄県民の願う負担軽減になるのでしょうか。
「県内たらい回しはやめよ」という県民の総意を裏切り、今回もまた普天間基地の代替と称して、名護市辺野古への新基地建設を盛り込んでいます。滑走路を二本持つ巨大な基地を、豊かな大浦湾を埋め立ててつくるというのであります。
これは沖縄県民が拒否し破たんしたSACO(日米特別行動委員会)合意を焼き直し、さらに巨大化し、住宅地に接近させる、いっそう危険な計画ではありませんか。どこが「負担の軽減」ですか。七割を超える県民の反対の声を総理はどう受けとめるのですか。
グアムへの海兵隊司令部機能の「移転」は、アメリカ自身がグアムを沖縄、ハワイとともに新たな戦略拠点にする計画です。どうして日本が基地建設費用を負担しなければならないのですか。グアムは米国領土であり米軍を自国に撤退させる費用そのものです。県民の「負担軽減」を口実に肩代わりをさせるものではないか。しかもSACOで合意済みの「土地の返還」までカネを出すことと引き換えにしているのです。言語道断です。
こうした費用負担は、安保条約上も日本の財政原則上も説明がつかないものです。再編にかかわる日本側の負担総額はいったいいくらになるのか。「構造改革」の名で相次ぐ国民負担増と社会保障切り捨てをすすめながら、米軍には湯水のように血税を投入するのですか。
先日、ローレス国防副次官は、日本の負担は「三兆円」と発言し、この数字は日本側の試算だとのべました。ところが日本側は「途方もない数字だ」「積算はこれからだ」などといい、おおよその負担額すら明らかにしていません。
日米同盟の再編の全体像はきわめて危険なものです。陸・海・空すべてで米軍と自衛隊の司令部が同じ場所に置かれ一体化する。岩国は嘉手納に匹敵する極東最大級の巨大な基地になる。そのうえ全国の自衛隊基地を米軍も使用できるようにし、あらゆるレベルで日常的に日米共同訓練を行うのです。首相、なぜこのような日米の軍事一体化が必要なのですか。
そもそもアメリカがすすめる「米軍再編」は、先制攻撃戦略に同盟国をいっそう深く組み込み、世界規模で軍事態勢を再編成するものです。「共同発表」にいう日米同盟の「新たな段階」とは、自衛隊を米軍の補完部隊として組み込み、米軍と自衛隊が一体となって世界のあらゆる地域に乗り出していくということではありませんか。
こうした日米軍事同盟の再編・強化に対し、全国各地で自治体ぐるみの反対の声が巻き起こっています。首相はこの声を正面から受けとめるべきです。