2006年5月10日(水)「しんぶん赤旗」
原油高で影響深刻
漁船出られぬ バス動かせぬ
原油高による燃料費高騰が続いています。一日からは石油元売り大手各社が、ガソリン価格をいっせいに引き上げ。漁業や運輸業などの分野ではいっそう深刻さが増しています。
全国屈指のマグロ水揚げ量を誇る宮城県。気仙沼遠洋漁業協同組合の三浦一彦参事は「燃料費は全体で60%ぐらい価格が上がっている。一隻あたり遠洋で千キロリットル、近海で七百キロリットルかかり、年間二千万円から三千万円も増えました。漁獲量は頭打ち。漁に出られず廃業を迫られる事態です。気仙沼で十七隻が岸壁に係留したまま。政府の緊急資金援助の融資制度では、もちこたえられない」と話します。
北海道函館市で、航海期間の長い中型イカ漁業への影響を日本銀行函館支店が調べました。その試算では、燃料費の高騰で一昨年度に平均九百万円あった利益が昨年度は一千八百五十万円の赤字に転落しました。
北海道では、軽油の値上がりでバスの運行数にもしわよせがでています。道東部の大手「くしろバス」は、昨年秋のダイヤ改正で釧路市内三十三路線のうち六路線で、土日・祝日は七十五便、平日六十便の削減を実施。同社は「軽油が一リットルあたり二十円以上も上がって、年間三千万円の負担増。原油高だけの理由で料金値上げは踏み切れない。合理化しないと路線を守れない。ここまでくると手も足もでない」と話します。
経済産業省が先月二十八日に公表した原油高の影響緊急調査によると、九業種四十七社のうち収益を「やや圧迫している」という回答が、前回(二月十四日)より10ポイント増え47%に。
中小企業庁の原油高影響調査(ことし二月公表)によると、千四百七十四社のうち原油・石油製品関連費用の割合が、三カ月前の調査で10・9%だったのが、12・4%に増えています。