2006年4月8日(土)「しんぶん赤旗」
BSE問題で米紙社説
全頭検査の実施要求
“市場の打撃恐れるな”
【ワシントン=山崎伸治】六日付の米紙ニューヨーク・タイムズはBSE(牛海綿状脳症)問題で、米農務省に対し肉牛の全頭検査を実施するよう求める社説を掲載しました。
社説は、米農務省が毎年国内で食肉処理される肉牛三千五百万頭の約1%しか検査せず、「統計を元に1%の検査で十分だと考えている」ことについて「われわれはそう思わない」と指摘。同省が「若い牛でBSEを発見することは困難なので、全頭検査を行っても食品の安全を保証することにはならない」と主張し、自発的な全頭検査を行おうとした食肉会社に待ったをかけたことを「ばかげている」と批判しています。
食肉会社が個別に検査をしても問題の解決にはならないとして、「農務省が食肉処理されるすべての牛を検査すべきだ」と主張。問題は検査にかかる費用ではなく「恐怖感」だと指摘し、「広範な検査をやれば、BSE発症率が高くなり、消費者の信頼を損ない、食肉市場に打撃となるかもしれない」ということを恐れていては、「現状に甘んずることになる」と論じています。