2006年4月4日(火)「しんぶん赤旗」
自立支援法で相次ぐ施設退所者
重い負担「気力失う」
きょうされん調査 かつてない事態
北海道旭川市の身体障害者通所授産施設で七人など、五人以上が退所の意思を表明したり、検討中の施設が全国で十四施設にのぼっている―。きょうされんが三日、発表した障害者「自立支援」法の影響調査は、「サービスは低下させない」との政府の国会答弁に反して、低下どころか、障害者がサービスを受けられなくなっている実態を浮き彫りにしました。
「かつてない異常な事態。二十四年間施設を運営しているが、こんな短期間に何人も退所者が出ることはなかった」。厚生労働省での記者会見で、きょうされんの斎藤なを子常任理事は語りました。
斎藤さんが常務理事を務めている、さいたま市の社会福祉法人・鴻沼(こうぬま)福祉会の身体障害者通所授産施設では四人が三月末で退所しました。さらに三人が退所を検討しています。退所した四人はともに、他の施設を利用しておらず、自宅にいるといいます。
退所したのは、脳性まひ、筋ジストロフィー、聴覚、歩行の各障害を持っている人たちです。脳性まひの障害者は、三月の最後の週に、退所の意向を伝えてきました。
斎藤さんは「理由は、職員と合わないと言っていますが、『自立支援』法成立後、頑張る気持ちがなくなったと話していました。長年の関係で経済的なこともあると思う。相当迷ったのではないか」と話しました。四月分の負担額は、五月に請求があるため、その後、退所の判断をする人も出てくる可能性もあるといいます。精神障害者施設の応益負担は十月からのため、さらに増加することが予想されます。
きょうされんは同日、障害者「自立」支援法の抜本的改正をめざしていくとした声明を発表しました。声明では「不安が現実のものとなり障害のある人びとの暮らしを直撃する」として応益負担制度の撤回などを求めています。また、新事業への報酬単価が現行の支援費制度水準と比較して40%以上減額となる事例をあげ、「関係者の間で衝撃が走っている」として、事業を成り立たせるための緊急措置を求めています。
きょうされんは、今後、定期的に調査を進めていく予定です。