2006年4月1日(土)「しんぶん赤旗」

改憲急ぎ 世論とずれ 与党

国民投票法案 論点協議


 衆院憲法調査特別委員会で三十日に始まった国民投票法制に関する論点協議は、九条改憲の条件づくりとなる国民投票法案のとりまとめに向けた政党間協議の場です。

 これまで自由討議や参考人質疑で議論されてきた投票資格年齢や国民投票運動におけるマスメディア規制など諸「論点」について、法案とりまとめを想定してすりあわせを行うことに狙いがあります。

 三十日の特別委員会でも、自民党議員から「論点をとりまとめ改憲手続きを速やかに整備し、改憲論議を進める常設委員会の設置を」「次なる目的、本丸へ向けて議論するとき」などという発言が相次ぎました。論点協議から国民投票法案制定への流れを強め、改憲機運を盛り上げようという意図があからさまです。

 日本共産党は、国民投票法案は九条改憲の条件づくりだと批判し、論点協議を行うこと自体に反対しましたが、協議が行われる以上、これに参加し主張していくという立場で協議に加わっています。社民党も協議に反対しました。

 今後、論点協議を踏まえ、法案の協議、提出、審議へと流れを速めていきたいというのが改憲派の思惑です。

 しかし、こうした国民投票法制整備を急ぐ動きは大きな矛盾を抱えています。

 何より、国民世論は投票法案制定を求めていません。NHKの調査(三月十日から三日間実施)では、国民投票法案について「よく知っている」3%、「ある程度知っている」24%で、国民の多くが知らないという実態が明らかになりました。

 「よく知っている」、「ある程度知っている」と答えた人の中でも、「憲法改正には賛否両論があり、法案は時間をかけて議論すべきだ」が60%、「今の憲法を改正する必要はなく、法案は必要ない」が16%でした。

 この間、予定されていた論点協議が二週連続で流会になったのも、直接的には法案提出を急ぐ自民党側の言動に、民主党が強く反発したためですが、背景には改憲への動きに警戒を強める草の根の世論や、国民的な論議の欠如を考慮せざるを得ない事情があります。

 琉球新報二十一日付社説「国民投票法案・問題の本質を見失うな」は、「憲法改正への機運が国民には熟したとはとても思えない状況下で、国会論議を深めることなく、改正への手続きを急ぐことは許されない」と述べています。

 国民投票法案は九条改憲と一体のものであり、その条件づくりの策動です。この本質を多くの国民に知らせる対話を広げるときです。(中祖寅一)


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