2006年3月24日(金)「しんぶん赤旗」

バスク分離派

ETAが停戦声明

スペイン首相が歓迎表明


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 スペイン北部バスク地方の分離独立を求める過激派組織「バスク祖国と自由」(ETA)は二十二日、恒久的な停戦を二十四日から一方的に実施するとの声明を発表しました。スペインのサパテロ首相は議会で、「注意深く、慎重に」対応するとしながらも、ETAの声明を歓迎すると表明しました。一九六八年以来三十八年にわたるETAのテロの歴史に終止符が打たれる可能性が強まっています。

 声明はバスク地方のマスメディアに送付されました。このなかでETAは恒久停戦の目的を「バスクの国での民主的プロセスを進展させ、そのなかで、人民としてのわれわれの権利が認められる枠組みを築くこと」にあるとしています。声明はしかし、みずからの武装解除にはふれていません。

 独自の言語を話すバスク人の独立を求める動きには、とりわけ一九七五年まで続いたフランコ独裁政権下では、国内外で同情する傾向がありました。しかし、無差別テロを繰り返すETAに対しスペイン国民は厳しい目を向け、たびたび大規模なテロ糾弾の集会が行われました。欧州連合(EU)はETAをテロ組織として認定しています。

 最近では無差別テロへの批判がETA内部からも出され、昨年には獄中のETA指導者六人が暴力停止を呼びかける公開書簡を発表しています。

 また、スペイン政府とフランス政府の協力によるETA壊滅作戦も効果をあげています。この三年間に四百人以上が逮捕されました。このためETAは、二〇〇三年五月以来、死者を出すようなテロを行えない状況に陥っています。

 政府とETAとの間ではこれまで六回の「無期限停戦」や一時停戦があり、八九年、九九年の二度、和平交渉が行われました。しかし、いずれも失敗しています。このため、今回の停戦声明にも警戒する向きもあります。

 しかし、スペイン国内では今後の進展を期待する傾向が広がっていると伝えられます。サパテロ首相は議会での説明で、ETAの声明が和平交渉を開始するに足るものかどうか時間をかけて検討すると表明しました。

 交渉が開始されることになれば、武装解除の時期と場所、ETAの受刑者をバスク地方の刑務所に移すことを認めるかどうかの二点が交渉の焦点になるとみられています。(伴安弘)


 バスク地方とETA バスク地方は、バスク語を話すスペイン北部およびフランス南西部三郡にまたがる地域。スペインのバスクの三自治州(人口二百七十万人)にはすでに自治権が認められ、独自の議会と課税権、教育・保健制度、警察権を有しています。

 ETAはフランコ独裁政権下の一九五九年に創設され、バスク地方の分離独立を主張し、六八年に警察署長を暗殺して以来、爆弾テロを続けてきました。その犠牲者は八百人以上に及びます。


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