2006年3月24日(金)「しんぶん赤旗」
世界水フォーラム閉幕
安全供給は政府の役割
「民営化」論は後退
メキシコの首都メキシコ市で開かれていた第四回世界水フォーラムは二十二日、閣僚級国際会議で水問題における国や地方自治体の役割の重要性を盛り込んだ宣言を採択し、閉幕しました。
メキシコ市からの報道によると、世界百四十カ国の代表が署名した宣言では、「各国政府には、安全な飲み水の供給改善を促進する本来的な役割がある」と指摘。また、「それぞれの国において水と下水道の持続的な供給を発展させていくうえで、地方自治体と議会には重要な役割」があると強調しています。
今回のフォーラムでは、水の供給管理の地方分権化が中心議題の一つとなり、清潔な水をより多くの人が利用できるようにするための資金確保なども話し合われました。また、水道や下水道事業の民営化問題も論議になりました。
世界水会議のフォション議長は、「水不足や低品質の水による死者は、すべての戦争の犠牲者の十倍に達する」と指摘、水問題解決の重要性を訴えました。
二十二日は、国連総会が一九九二年に決議した「世界水の日」です。
アナン国連事務総長は二十二日、メッセージを発表し、「清潔な水は文化、環境、経済の各面でも重要であると認識し、河川や湖、滞水層を保護する努力を強めよう」と訴えました。
また、アナン氏は、世界全人口の18%に清潔な飲み水が供給されておらず、下水道設備も40%の人が不足しており、毎日子どもなど約六千人が清潔な水を得られないため死亡していると警告しています。
今回のフォーラムでは閣僚級会議の内外で、水道事業の民営化問題が論議になりました。これまで強調されてきた「民営化によって水問題を解決する」といった議論が後退し、政府や自治体の責任と公的管理の重要性が再認識されたのが特徴でした。
国連の報告によると、民営化が柱になったこの十年以上の開発で恩恵を受けた人は必要人口のわずか1%で、安全な飲み水を得られない人がなお十一億人も残されています。
民営化を担った多国籍企業などが利潤の対象にならない事業を後回しにする結果で、国連の専門家も事業を引き受けた民間企業が信頼を失って撤退している例を指摘しています。