2006年3月24日(金)「しんぶん赤旗」
主張
少人数学級
手厚い教育めざし本格実施を
桜の季節とともに、新しい学校生活が始まります。どの子にも手厚い教育が求められており、「三十人学級」の実現は切実な願いとなっています。
国の学級編成基準「四十人」を下回る少人数学級は、二〇〇一年度の十府県から、二〇〇六年度は、東京都を除く四十六道府県に広がっています。
三億四千万人分の署名
保護者や教職員、住民が一九八九年から毎年とりくんでいる三十人学級と私学助成を求める署名は、十七年間で計三億四千六百九十万人分(〇六年二月二十四日現在)にのぼります。これらが行政を動かし、自治体独自の少人数学級へと結実しています。
これらの努力を、さらに三十人学級の本格的な実施へとつないでいくことが大切になっています。
世界をみても、「学力世界一」で注目をあつめるフィンランドが一学級二十四人以下です。日本で、三十一人以上の学級が小学校で48%、中学校で81%も残されています。
国の制度が「四十人学級」のままでは、少人数学級への財政的な保障が不十分です。
文部科学省の調査でも、少人数学級が学習面でも生活面でも効果をあげていることが明白なのに、国の制度として踏み出せないのは、小泉政治が抵抗しているからです。
日本共産党の国会質問に、文部科学相がはじめて、少人数学級に同意する答弁をしたのは昨年二月です。三月には、中央教育審議会の鳥居康彦会長が国会ではじめて少人数学級推進を発言しました。これらの流れは、三十人学級を求める全国のとりくみの貴重な成果でした。
ところが、少人数学級の導入を検討していた文部科学省の協力者会議は十月、四十人学級維持、少人数学級の実施を見送るという逆向きの報告書を出しました。首相の諮問機関・経済財政諮問会議をはじめ、小泉政治の圧力によるものです。
同時に、報告書は「小学校低学年」に限ってですが、「三十五人学級」などの少人数学級をすすめるべきだと明記しました。
生活と学習の環境が著しく変化する小学校低学年では、「学級とは別に学習集団を作るよりも、基本的な生活習慣や学習態度の育成のために生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的と考えられる」とのべています。
ただ一つ、少人数学級に背を向けている東京都は、生活集団と学習集団の一体化を認めようとせず、「生活集団としての学級には、一定の規模が必要だ」といって、四十人学級にしがみついています。
少人数学級を見送った文部科学省の報告書でさえ、子どもの実態を直視しようとしない東京都の姿勢を批判するものとなっています。
東京都は、全国の流れに逆らって四十人学級にしがみつくのをやめるべきです。
小泉内閣の逆流に抗し
日本共産党は、昨年九月、少人数学級にたいする小泉政治の抵抗と対決し、国の制度としての三十人学級への道をひらくための法案要綱を出しました。学校・地方の判断による多様で弾力的な方法の保障も提案しています。
財源は、大型公共事業や軍事費、政党助成金などの一部を回すだけでも十分確保できます。教員雇用の創出は経済波及効果が大きく、子どもの教育だけでなく、景気対策としても役に立つ施策です。