2006年2月4日(土)「しんぶん赤旗」

米産牛肉「立ち入り検査」なし

輸入再開で日米合意

カナダ産は実施明記


 北米産牛肉輸入再開をめぐって、日本が行う査察について、農水・厚生労働両省が、カナダとは「施設の立ち入り検査」を合意しながら、米国には甘い「査察」で合意していたことがわかりました。


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(写真)BSE問題で質問する紙智子議員=3日、参院農水委

■参院委 紙議員が追及

 日本共産党の紙智子参院議員が、三日の農水委員会の米国産牛肉輸入再停止をめぐる集中審議でこの「合意」をとりあげ、国民の食の安全より米国いいなりの姿勢だと追及。事前査察の閣議決定を守らなかった責任とともに、中川昭一農水相の罷免を要求しました。

 問題の合意文書は、輸入再開のため昨年十二月十二日に締結した「家畜衛生条件」。米国産牛肉の輸入停止の経過を報告した一月二十六日の食品安全委員会で、同条件の内容の一部を初めて説明しました。

 同条件では「日本政府による査察」の範囲を定め、(1)米政府が指定した施設の「代表的なサンプルを通じて米国農務省のシステムを評価し」(2)「食肉処理施設の衛生管理システム(HACCP)と衛生標準作業手順(SSOP)の記録原簿を査察することができる」としています。

 カナダと同時期にとりかわした衛生条件では「指定施設の立ち入り検査を実施し」と明記しているのに、米国には代表的なサンプルで評価するとして、個別施設への立ち入り検査の実施が抜け落ちています。しかも、英文では「査察」の用語が、「監査」となっています。

 紙参院議員は「なぜ米国の査察とカナダの査察が違うのか」「米国に甘いこのような査察をつづけるのか」と追及。「国民の安全より米国の再開要求を優先させた日米合意だ」ときびしく批判しました。

 中川農水相は、日米で合意した輸入再開条件について「いかにアメリカいいなりといわれても、システムに問題はない。ただし運用について大きな問題が発生したので、米政府の報告を求めている」と答弁。対米追随の姿勢をあらわにしました。


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