2006年2月2日(木)「しんぶん赤旗」
中川農水相に400万円
米牛解禁求めた外食産業
国内BSE発生後4年間
政府答弁書で約束していた事前の現地調査を実施せず、米国産牛肉の輸入再開をおこなうなど、国民の食の安全を守るべき農水相としての資格が問われている中川昭一農水相が、早期輸入再開を求めて運動してきた外食産業の政治団体から二〇〇一年からの四年間で計四百万円の献金を受け取っていたことが本紙の調べでわかりました。
献金していたのは、「外食産業政治研究会」。ファミリーレストランや牛丼チェーン店など外食産業大手で構成する社団法人「日本フードサービス協会」(東京・港区)の政治団体です。同研究会の代表者は協会の会長、会計責任者は協会専務理事など、両者は一体の関係にあります。同研究会の関係者によると、会の目的は「外食産業にシンパシー(共感)を持っていただく国会議員を育成していくこと」です。
外食産業政治研究会は、〇一年九月に日本国内でBSE(牛海綿状脳症)が発生してから活動を活発化。同研究会の政治資金収支報告書によると、〇一年十一月に、「中川昭一君と21世紀を語る会」というパーティー券を百万円分購入したのをはじめ、〇二年十一月も「中川昭一君と21世紀を語る会」、〇三年九月は「中川昭一君と拉致問題を語る会」のそれぞれ会費名目で各百万円を支出しています。
〇四年は、中川農水相関連の政治団体「昭成会」の会費二十万円が五回、計百万円の献金がありました。
同研究会は、農水相経験者や農水省出身議員らに毎年、多額の献金をおこなっていますが、中川農水相への四年間の献金額は、島村宜伸前農水相の二百八十万円を上回って、最高です。
中川農水相は、「創立三十周年記念パーティー」(〇四年十月)、「新年賀詞交歓会」(〇五年一月)など、日本フードサービス協会の会合にたびたび出席してあいさつしています。
米国産牛肉の輸入禁止直後の〇四年の新年会では、「輸入再開は重要な問題」と、あいさつをしたことが「日本外食新聞」(〇四年一月二十五日号)で次のように紹介されています。
「アメリカでベネマン農務長官にあった中川昭一経済産業大臣は『“急がば回れ”と申し上げた。しかし…牛肉輸入の3割を占める米国牛肉の輸入再開は重要な問題』と述べた」
日本フードサービス協会は、米国産輸入牛肉の早期再開を求める署名運動を展開、昨年三月、百二十万人分の署名を島村農水相(当時)に提出しました。中川農水相、島村前農水相以外、政権中枢では、谷垣禎一財務相四十万円、武部勤幹事長六十万円などの献金があります。
本紙の問い合わせに、中川昭一事務所からは一日夕までに回答がありませんでした。