2006年1月31日(火)「しんぶん赤旗」
閣議決定守らず再開
米牛肉輸入 事前調査せず
「約束でない」政府が強弁
昨年十二月の米国産牛肉の輸入再開前に実施するとしていた政府の現地調査が行われていなかったことが、三十日の衆院予算委員会で明らかになりました。再開前の調査は、閣議決定した政府答弁書で約束していたものです。事実を認めた中川昭一農水相の答弁をめぐって、予算委員会の審議は約七時間中断する事態となり、政府は二〇〇五年度補正予算案の同日中の衆院通過を断念する事態に追い込まれました。
■補正、本会議採決持ち越す
日本共産党など野党側は中川農水相の辞任を要求。「責められるべきは米国」と自らの責任を不問にしてきた小泉純一郎首相の責任が、今後問われます。
中川農水相は同日午前の予算委で民主党の松野頼久議員の質問に「輸入再開前に米国に調査に行ったことはない」と陳謝し、「どういう責任の取り方がいいかこれから考える」と答えました。
政府は、昨年十一月十八日に閣議決定した同党議員の質問主意書に対する答弁書で「米国産牛肉等の輸入を再開する場合には、輸入再開以前に、担当官を派遣して食肉処理施設に対する現地調査を実施する」と明記しています。しかし、実際には再開前の調査はしておらず、中川農水相は「(答弁書の閣議決定時と)状況が変わった」などと説明。これに野党側は納得せず、民主、社民両党は委員会を退席し、審議が中断しました。
中川農水相は再開された予算委で「閣議決定を経た答弁書通りにしなかったことについて十分な説明が足りず、結果として重く責任を感じている」と述べましたが、自らの責任については「条件が変わったことを伝えなかったのは大変申し訳なかった」との答弁にとどまりました。
午後十時すぎに再開された委員会で安倍晋三官房長官は「(問題の政府答弁書は)厚労省、農水省の当時の認識、考え方を内閣として是としたもので、必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではない」と居直る統一見解を示しました。
小泉首相は、中川農水相の進退に関し、辞任する必要はないとの認識を示しました。