2006年1月5日(木)「しんぶん赤旗」
主張
輝く憲法9条
世界が共感する平和の羅針盤
今年は、日本国憲法の“還暦”の年です。さまざまな問題がありつつも、戦火を交えず過ごした六十年は、憲法九条のすばらしさを示しています。新年を迎えて、憲法九条を地球的規模の規範にしたいとの思いを新たにします。
アジアと世界では、反戦・平和、国連憲章にもとづく平和の秩序を求める流れが大きくなっています。憲法九条は、この平和の流れを加速するうえで海外から大きな注目と共感を集めています。
■戦争禁止の徹底に注目
武力行使を原則禁止する一方で個別的・集団的自衛権の行使などを例外的に認めている国連憲章に比べて、憲法九条は、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記し戦争禁止を徹底しています。そこに世界の注目と共感を集める理由があります。
二〇〇五年七月、国連本部で世界百十八カ国のNGO諸団体が参加した「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ」(GPPAC)の国際会議が採択した「世界行動宣言」は、「日本国憲法第九条は、紛争解決の手段としての戦争を放棄するとともに、その目的で戦力の保持を放棄している。これは、アジア太平洋地域全体の集団的安全保障の土台となってきた」と明記し、九条を平和の土台として高く評価しました。これに先立つ同年二月の東京会議で採択された「GPPAC東北アジア地域行動宣言」では、「九条の原則は、普遍的価値を有するものと認知されるべきであって、東北アジアの平和の基盤として活用されるべきである」と明記しています。
GPPACは、「紛争予防における市民社会の役割」の重要性を強調したアナン国連事務総長の提唱をうけて始まった運動です。世界十五の地域で会議を積み重ね、昨年七月の会議で意見・議論が集約されました。そこで、憲法九条が、国際的な平和体制づくりの規範として高く評価されていることは重要です。
国際民主法律家協会の大会も「人類は、戦争のない二十一世紀をつくることを悲願としており、その悲願は、第九条に表された法的な原理に支えられている」とのべています。
アメリカでは、日米両政府による憲法九条の改悪策動を心配する動きもでてきています。「平和のための退役軍人の会」(ベトナム戦争やイラク戦争の帰還兵約四千人が参加)は、〇四年七月の大会で、「危機にひんしている日本国憲法第九条を支持する」決議を採択。そのなかで、「九条が『戦争による支配』を『法の支配』に置きかえる地上の生きた模範であるという…考えを共有する」と指摘しました。
世界は、憲法九条を、平和の国際秩序をつくる指針と見ています。激動する国際政治が、「戦争のない世界」をつくるさきがけになることを決意した憲法九条の出番を待っています。憲法九条は、日本の平和的針路にとって重要であるだけでなく、世界と地域の平和秩序をつくるのに不可欠な平和の羅針盤です。
■改憲策動を許さない
自民党は、昨年の党大会で、「自衛軍の保持」と海外派兵を認める「新憲法草案」を決めました。民主党も海外での「武力の行使」を認める「憲法提言」を出しました。公明党はこれらの改憲策動に合流する方向です。世界が注目する九条を改廃し、日本をアメリカとともに海外で「戦争する国」に変えることは、平和をこわし、世界で孤立する道です。
憲法改悪を許さない国民的批判を、さらに大きくしていきましょう。