2005年12月27日(火)「しんぶん赤旗」
白杖・点字盤に負担増
厚労省通達 視覚障害者ら抗議
視覚障害者にとって、目の代わりとなる白杖(はくじょう)や、安全に生活するために必要な電磁調理器などに新たな負担がかせられることが分かり二十六日、全日本視覚障害者協議会(正岡光雄会長)は厚生労働省に抗議・要請行動をしました。視覚障害者らは「収入が少ない非課税世帯を直撃して負担を増やすのは納得できない」と抗議。障害者施策の運営に当事者(障害者)の声を生かす仕組みと体制の確立を求めました。
厚労省の資料によると、来年一月一日から新たに負担を強いられるのは、障害者のいる市町村民税非課税世帯です。これまで無料だった補装具と日常生活用具に、今後利用月に千百円の負担が求められます。補装具や日常生活用具はすべての障害者にとっての安心・安全な生活を保障するもの。視覚障害者では、白杖や点字盤、色眼鏡、電磁調理器やテープレコーダー、音声体温計などです。世帯の所得税額が三百九十六万円以下の場合で、障害者自身が世帯主や世帯の最多収入者のときは、厚労省が決めた「徴収基準月額」の二分の一になります。厚労省は、この趣旨の通達を十月三十一日付で各市町村などに文書で伝えていました。
抗議・要請行動で厚労省の担当者は現在、障害児が児童福祉法のもと、同様の条件で負担していることを挙げ、「その絡みで今回させてもらった」と説明。障害者らは「所得が少ないから非課税になっている。障害児の方をこっちに合わせるのが筋ではないのか」と詰め寄りました。
行動を終えた全盲の西原和子さん(54)は「調理で油を使うときに火が出るガス調理器では危険。だから電磁調理器が必要です」と話しました。