2005年11月30日(水)「しんぶん赤旗」

「公表前 国交省に報告」

耐震偽造 「対処そちらで」と無視

検査機関社長が証言

衆院参考人質疑


 マンションなどの耐震強度偽装問題で、衆院国土交通委員会は二十九日、マンション建築主ヒューザーの小嶋進社長ら六人を呼び参考人質疑をおこないました。民間の指定確認検査機関のイーホームズの藤田東吾社長は、国土交通省の事件公表の約二十日前に「構造計算書偽造事件という重大事態が発生」と同省にメールしたのに同省が「そちらで対処を」と取りあわなかったことを証言しました。日本共産党から穀田恵二衆院議員が質問に立ちました。


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(写真)参考人(正面席前列の6氏)に質問する穀田恵二議員=29日、衆院国土交通委

 ほかに参考人招致されたのは、建築主シノケンの篠原英明社長、施工した木村建設の木村盛好社長と篠塚明元東京支店長、建築確認をおこなった神奈川県平塚市の渡辺貞雄都市政策部長。姉歯建築設計事務所の姉歯秀次一級建築士は「精神的に怖くて外出できない」として欠席しました。

 藤田氏は、偽装問題発覚の経過について、民間検査機関最大手で、大手住宅メーカーが出資する「日本ERI」が一年前、姉歯建築士の構造計算書偽造を知りながら隠ぺいしたとの情報を外部から得て、姉歯氏関連の物件を内部調査したとのべました。日本ERIは同日の会見で、指摘された隠ぺい疑惑を否定しました。

 さらに藤田氏は、姉歯氏が藤田氏に偽造を認めた十月二十五日の翌二十六日、国土交通省に、「構造計算書偽造事件という非常に重大な事態が発生した」と社名を伏せて電子メールで報告したものの同省は「申請者と当社(イー社)の問題でそちらで対処を」と取り合わなかったと証言しました。

 また、藤田氏は十月二十七日、ヒューザー本社で小嶋社長、姉歯氏ら関係者と会談したさい、小嶋氏から「行政も見抜けなかった。公表して正義を貫いて何の意味がある。公表すれば徹底的にたたく」と言われ、「圧力を受けた」と証言。穀田議員が、小嶋氏がその場で「天災地震にて倒壊したときに調査し発覚したことにしたい」とのべたかどうかをただすと、藤田氏は「事実だ」と認めました。一方、小嶋氏は「公表するなとは言っていない。公表までに時間が必要だと言った」などと反論しました。

■国交省認める

 イーホームズの藤田東吾社長が衆院国土交通委員会の参考人質疑で「問題の大きさが伝わらなかった」と国土交通省の対応を批判したのに対し、同省の小川富由建築指導課長は二十九日、「深刻さを酌めなかったのは残念。隠ぺいする意図は決してなかった」と話しました。

 小川課長は、最初に連絡を受けた時点で詳しく聴取しなかった対応について「その点については反省がある」と述べました。


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