2005年11月23日(水)「しんぶん赤旗」
外壁にひび、たわむ梁(はり)
賠償求め住民2次提訴
福岡版 耐震設計偽造問題
マンションの耐震強度偽造が注目されるなかで二十二日、福岡県篠栗町の分譲マンション管理組合管理者、竹川英輝さん(33)が建物の構造計算書に偽造があったとして、建て替え費用など約九億三千万円の損害賠償を販売会社などに求める第二次訴訟を福岡地裁に起こしました。コスト削減の耐震強度偽造が千葉県市川市の姉歯建築設計事務所だけでなく、全国的に広がっている一端を示すものとして注目されます。
訴えられたのは「エイルヴィラツインコートシティ門松駅前ウエストサイド」を販売した作州商事(本社福岡市)、建築した香椎建設(同)、設計したニューアート建築設計事務所(同)の三社と一級建築士二人。
訴状によると、耐震設計の構造計算書の偽造が行われて建設されたことから、マンション全体の構造の安定性を欠き、居室の小・大梁(はり)の中央部分がたわんで沈下したり、外壁に多数のひび割れやドアの開閉不良などが発生。管理組合の床部分のコンクリート厚さも設計図に比べて不足していることなどが発覚しました。
構造計算書は、建物荷重を少なめに計算し、所定の82%程度の荷重で計算しているほか、仮定荷重にもとづいて求められた地震力を使わずに、荷重を勝手に11%減らし、改ざんしたデータを使用したとしています。また、同計算書は前半と後半とは別で、途中でつなぎあわされていました。
竹川さんは「マンションを一生に一度の買い物として、入居した。販売の際にうたっている数字、耐震性などが異なってこの六年間、不具合に耐えてきた。専門家しか分からない、この業界の体質を少しでも、他の購入者に知ってもらいたいと願って提訴した」と語りました。
同マンション(九階建て、四十二戸)は一九九九年四月から入居を開始。作州商事は、このマンションに隣接する「門松駅前イーストサイド」(十一階建て、四十九戸)と同時期にツイン(二棟)で建設し、販売しました。イーストサイド管理組合は昨年六月、ウエストサイド管理組合に先立って損害賠償を求める第一次訴訟を起こしています。