2005年10月19日(水)「しんぶん赤旗」
障害者「自立支援」法案
高橋議員の代表質問(大要)
十八日の衆院本会議での障害者「自立支援」法案にたいする高橋千鶴子議員の代表質問の大要は次の通りです。
私は、日本共産党を代表して、障害者「自立支援」法案について質問します。
まずお聞きしたいのは、政府が、先の通常国会での審議をどう受けとめているのかということです。
衆議院で三回の参考人質疑がおこなわれました。十九人の参考人のほとんどのみなさんが指摘されたのが、「応益負担」の問題でした。今回提出の法案も、障害者のみなさんが一番問題にしている「応益負担」をそのまま柱にすえています。
しかも、障害程度区分やサービス報酬基準などの事項が政省令にゆだねられたままで、依然として重要なサービスにかかわる内容は明らかにされていません。これでは、必要なサービスが受けられるのかという障害者の不安はつのるばかりです。制度の根幹にかかわる重要事項を示さないまま、負担だけを押しつける政府の姿勢はきわめて重大です。
全国の障害者やその家族、関係団体が慎重審議を求めています。いま、政府がなすべきことは、障害者や家族から出されている、さまざまな懸念や疑問に正面からこたえることではないでしょうか。
そのためには、本法案は撤回し、障害者や家族の声を真摯(しんし)に受けとめ、障害者の真の自立と社会参加のため、障害者福祉施策の抜本的な再検討を行うべきではありませんか。答弁を求めます。
障害福祉サービスへの「応益負担」の導入は、何をもたらすでしょうか。
障害者にとって、介護や移動などにかかわる各種サービスは、日常生活を維持するうえでなくてはならないものです。障害者の自立と社会参加を保障する不可欠の条件であり、いわゆる「利益」とはまったく異なるものです。障害者の生存権を保障する、この重要なサービスを「利益」と称して、それに負担を求めることは許されません。
障害者の現実に照らせば、所得保障がないもとでは、障害が重くなればなるほど負担が増えることになります。これは、障害者の生きる権利を否定するものではありませんか。
政府は、減免制度を設け「きめ細かな配慮」をしているといいますが、例えば、通所施設を利用している障害者の工賃は、月額平均七千円程度です。ところが施設の利用料負担は、これをはるかに超えています。先日もこんな訴えがありました。「作業所でもらう工賃は六千円、まるまる交通費に消えてしまいます。それでも利用料を負担しなければならないのでしょうか」。これが障害者の置かれている実態です。どうして障害者がこれで「自立」できるでしょうか。明確な答弁を求めます。
さらに問題なのは、障害者の公費負担医療にも「応益負担」を導入することです。
障害者にとって、医療保障は「命綱」として特別の意味を持っています。その医療への負担増は、障害者を医療から遠ざけ、健康の悪化を引き起こしかねないことは明らかです。生命の危機においやる重大な懸念すらあります。
公費負担医療は、それぞれ特性をもっています。長期の治療が必要な腎臓病などの育成医療や更生医療、精神障害者の社会復帰に不可欠な通院公費、これらを一緒くたにして、一律に一割の「応益負担」を押し付ける、あまりにも乱暴ではありませんか。
大臣は、障害者の生命と健康にどのように責任をはたすおつもりですか。
以上、明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。