2005年9月25日(日)「しんぶん赤旗」

主張

憲法特別委員会

憲法守れの声に背くもの


 衆議院への「日本国憲法に関する調査特別委員会」設置が決まりました。衆院本会議で自民党、民主党、公明党が賛成多数で議決しました。

 憲法特別委員会の目的は、「日本国憲法改正国民投票制度に係(かかわ)る議案の審査等」です。法案審査のできない「憲法調査会」とは違い、憲法改定の国民投票法案を審議する委員会になります。

 日本共産党は、「国民投票法の狙いが憲法九条の改定にむけた条件づくりにあることは明白であり、断じて設置を認めることはできない」と反対し、設置強行に強く抗議しました。

■説得力ない形式論

 自民党は、“憲法第九六条の「改正手続き」で国民投票が定められているのに、実施するための法律が制定されていないのはおかしい。放置するのは国会の怠慢だ”と、国民投票法制定が緊急課題であるかのようにいっています。公明党もこれに同調し、昨年十二月の与党協議会で、国民投票法案の成立をはかることで合意していました。

 この流れに民主党も乗り、今年三月には、自公民三党の憲法問題担当者が、国民投票法案をテーマにした協議の場を設けることについて話し合っています。

 ところが、改憲の動きにたいする国民の批判は大きく、解散、総選挙もあって、自公両党の当初の目標であった「通常国会での国民投票法成立」は、達成できませんでした。

 憲法特別委の設置は、憲法改定にむけて“ねじを巻きなおす”ものです。しかし、国民投票法制定に大義はなく、国民との矛盾は大きくなります。

 国民投票法が必要だという自民党の主張自体、まったくの形式論で、説得力がありません。実際には、憲法を守れという国民の声に背くものです。憲法にもとづく政治を行い、憲法をまもる限り、「国民投票法」は必要ありません。「国民投票法」がないのは、「怠慢」ではなく、憲法改悪を阻止してきた国民のたたかいの偉大な成果です。

 自民党などの改憲の狙いは、九条を変えてアメリカが起こす戦争に参戦できるようにすること、「海外で戦争する国」にすることです。自民党の改憲草案は、九条を全面的に改廃し、「自衛軍の保持」や国際活動を明記する内容になっています。

 民主党の前原代表も、九条二項の削除、「自衛権の明記」を主張しており、自民・民主両党が、この点で足並みをそろえつつあることは重大です。

 「戦力」を持たず、「交戦権」は「認めない」と定めた九条二項があるからこそ、政府も、自衛隊を「戦力」とはいえません。当然の帰結として、武力行使を目的にした海外派兵も集団的自衛権の行使も武力行使を伴う国連軍への参加も、許されません。九条二項の削除は、それを可能にするためのものです。

 「九条を変えると戦争になるという理屈がわからない」(小泉首相)。「9条改正が戦争に道を開く、というのはプロパガンダ(政治的な宣伝)だ」(前原代表、「読売」二十二日付)。これらは、九条改憲の危険性をごまかすためのものです。

■「九条守れ」圧倒的に

 国会内では改憲派が圧倒的多数でも、国民の中では違います。多くの国民が「戦争する国にしたくない」と考えており、全国津々浦々から、「九条守れ」の声を上げています。

 この力をさらに大きくして、国民の圧倒的な世論とするため、力を合わせていきましょう。


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