2005年8月1日(月)「しんぶん赤旗」
障害者「自立支援」法案
会期末控え緊迫
小池参院議員に聞く
生存権奪う負担増 廃案に全力
参院で審議中の障害者「自立支援」法案。会期末を前に緊迫した情勢です。厚生労働委員会で質問に立っている小池晃参院議員に聞きました。
――法案への反響が大きいですね。
小池 連日、障害者やご家族の皆さんからファクスやメール、手紙が山のように寄せられています。その一つ一つにリアルな実態が細かくつづられ、怒りや不安が表明されているのが特徴です。
参院厚生労働委員会の傍聴者も実質審議の初日(七月二十八日)は二百人を超えました。傍聴席があふれ、記者席も全部開放されました。皆さん食い入るように審議を見守っています。
当初、与党は今より一週間早い審議入りを想定していました。それが運動に押される形で遅れ、会期末(八月十三日)ギリギリまで追いつめています。
■所得保障は今後
――「自立支援」とは逆行と批判されています。
小池 新たな問題点が次々出てきています。与党は、衆院の段階の「修正」で負担が軽減されたように言っていますが、これまでに比べ、まったく軽減になっていない。導入が検討されている社会福祉法人の減免(負担上限の引き下げ)の不十分さも明らかになりました。与党の要望で実現したという世帯分離のしくみ(家族合計の所得か障害者本人所得かを選択する)も、私の質問で増税、負担増につながることが明らかになり、傍聴席の障害者からどよめきが起こりました。
所得保障の問題では、障害者への年金(障害基礎年金)も手当も増える見込みはないと厚労省は明言しました。所得保障の充実の検討は今後の課題だといい、負担増だけは押し付けようとしているのです。
■道理のない脅し
――それでも政府与党は成立を狙っています。
小池 厚労省も巻き返しに躍起となっています。二十八日の厚生労働委員会で自民党の議員は「法案が成立しなかったとしたらどういう問題があるのか」と質問しました。それに対する尾辻秀久厚労相の答弁は「支援費に対する予算は十カ月分しか組んでいない。(来年)一月以降は自立支援法が通るということを前提にした(国庫)負担金になっている。もし法案が成立しないと一月以降の予算がないから大幅に、百七十億円予算が不足する。市町村に深刻な影響を与えます」。
成立しないと大変という脅しです。負担増をのまなければ予算を断ち切るぞというのは脅迫以外の何物でもない。これではいったん予算案が通ったら関連する法案はすべて成立させなければならないということになります。全く道理がありません。
しかし、こうしたなかで障害者団体の一部に、今国会で成立させてほしいという声があがる状況もあります。
■団結固め運動を
――郵政問題もからんで緊迫した状況ですね。
小池 与党の中からはなんとしても今国会で成立させたいということで、郵政民営化法案が可決すれば、残りわずかな期間でも「自立支援」法案を成立させようという話が出ているようです。
これまで障害者団体は立場の違い、意見の違い、歴史的経緯の違いを超えて団結して、法案にもりこまれた「応益負担」導入をストップさせようと行動してきました。このまま問題を残して強行すれば、障害者の生きる権利がうばわれ、大変な被害が出ることは明らかです。
障害者の皆さんの声を聞いて、やり直そうじゃないかという一致点を大切にし、団結を固めて運動を広げていくことが大事です。参議院でも党議員団として総力をあげ、徹底的に法案の問題点を明らかにして廃案に追い込んでいく決意です。