2005年7月14日(木)「しんぶん赤旗」
障害者に一割負担
自公が「自立支援」法案可決
“自立破壊だ”怒りの渦
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「自立支援」の名で障害者の福祉サービスに一割の定率負担を導入し、公費負担医療制度にも大幅な負担増を求める障害者「自立支援」法案は十三日の衆院厚生労働委員会で、一部「修正」のうえ自民、公明両党の賛成多数で可決されました。日本共産党、民主党、社民党は反対しました。
■衆院委で山口議員反対討論
反対討論に立った日本共産党の山口富男議員は、定率負担導入で、ホームヘルプで四倍、通所施設で十九倍という障害者に耐えられない負担増になることを示し、「障害者の社会参加と自立の支援に逆行する」と批判。現行では所得に応じた負担の更生医療、育成医療も原則一割負担とし、入院給食費に自己負担を導入することは「障害者を医療機関から遠ざけ、必要な医療を受けられず、健康状態の悪化を招く」とのべました。
この日の国会には、法案審議が始まる前から障害者や関係者が多数かけつけ、衆院厚労委の傍聴席が通路も含めて埋め尽くされました。法案の基礎となる資料、データの間違い、不備を開き直る厚労省の態度、「国が障害者の自立支援に責任をもつ」(自民・八代英太議員)と法案を合理化する与党議員の発言に、傍聴席から「自立破壊だ」「命がかかっているんだぞ」という怒りの声も。滋賀県大津市からかけつけた片岡博さん(43)は「あんなに国会がいい加減なところだとは思わなかった。障害者の声も聞かず、データもでたらめ。障害者の人権なんてまったく考えていない」と話していました。
採決後、障害者団体、傍聴者が国会前で抗議。日本共産党、民主党、社民党の国会議員が参加しました。山口氏はあいさつで、障害者、関係団体の共同の運動と世論の高まりが、「五月には法案を衆院で通す」と豪語していた政府・与党のもくろみを崩し、「国会を動かす大きな力となった」と強調。「参院で廃案に追い込むため、全力を尽くします」と語りました。
▼障害者「自立支援」法案のおもな問題点
○サービス利用者に1割負担導入。応益負担、定率負担でホームヘルプで4倍、通所施設で19倍の負担増に。
○公費負担の更生医療・育成医療(応能負担)、精神通院医療(5%負担)を原則1割負担に増やす。
○障害程度の区分など重要な内容が政省令に委ねられている。