2005年5月1日(日)「しんぶん赤旗」
介護保険料値上げ
事業者も反対多数
“入所者の今後が心配”
川崎市社会保障推進協議会(川崎市社保協)は、市内のすべての介護サービス提供事業者(五百二十七事業所)を対象にアンケート調査を実施。いま国会で審議中の介護保険改悪法案に盛り込まれている保険料の引き上げや施設給付の見直しなどについて意見を求めました。これまでに回答を寄せた事業者からは、国民に負担を強いる法案への疑問や批判の声が上がっています。
川崎市社保協がアンケート調査
介護保険料の引き上げについては、回答した事業者の圧倒的多数が「反対」「どちらかといえば反対」と回答。「国民にばかり痛みを押しつけている」「保険料を引き上げる前に税金のむだ遣いをやめるべきだ」との意見が書き込まれています。
改悪案は、特別養護老人ホーム、老人保健施設などの施設入所者の食費と居住費を全額利用者負担にすることを打ち出しています。
これには「いまの入所者で負担が重くなる人は今後どうなるのか」と懸念が出されました。
「利用者負担はやむを得ない」と考える事業者のなかでも、「負担増をサービス向上へとつなげるのが筋であり、給付の抑制に結びつけるのは納得できない」と注文を付け加えているところもあります。
改悪案はまた、老人保健法に基づく保健事業、介護予防・地域支え合い事業、在宅介護支援センター運営事業の三事業を再編、「地域支援事業」を創設して介護保険に吸収することを盛り込んでいます。現在、公費で実施されているこれらの事業の財源に介護保険料を充てる計画です。老人健診などが有料化される恐れがあり、受診率の落ち込みを招くことが危ぐされています。介護保険料の滞納者が利用できなくなる可能性もあります。
この案については、「介護保険料の値上げにつながる」「多忙になる」との厳しい見方が示されました。「介護事業者として適切な運営ができるだろうか」との疑問も出されています。
川崎市社保協は今月中旬、事業者との介護保険懇談会を開きます。この懇談会でアンケートの集計結果を発表することにしています。そこで出された意見とアンケート結果を川崎市と国に届け、よりよい介護保険制度へと改善するよう要請していくといいます。
昼間忠男事務局長は、「介護事業者の声を幅広く聞いて問題点を明らかにするとともに、市議会の各会派の議員にも現場の実態をきちんと知らせていくことが大事だと考えています。政府の宣伝に惑わされている恐れがありますから」と話しています。