2004年12月25日(土)「しんぶん赤旗」
政府は二十四日、実務者協議での北朝鮮側との詳細なやりとりを拉致被害者の家族に説明し、家族がその一部を公開しました。そこからは、北朝鮮内での調査と日朝間の交渉に「特殊機関」が大きな障壁となっている実態が浮かび上がっています。
交渉では、日本側の質問に対して、北朝鮮側が「特殊機関」を理由にし、ひんぱんに回答を拒否していました。
「特殊機関の秘密となっており、答えられない」。横田めぐみさんが生活した招待所の場所について、北朝鮮側はこういって日本側への回答を拒みました。めぐみさんが死亡したとされる病院には「臨時カルテ」が存在したとされますが、日本側が「保存されているか」と聞くと、「入院当時、臨時カルテだけを作って治療するよう当該機関（特殊機関）が頼んだ。死亡後、臨時カルテも当該機関で持ち帰った。その所在を探してみたが、妄動分子が焼却していることが確認された」と答えました。
田口八重子さんが亡くなったとされる病院の所在地について、北朝鮮側は「病院は特殊機関に属するため、所在地は明らかにできない」。原敕晁さんが入院した病院も「特殊機関の機密にかかわる」ことを理由に回答しませんでした。
北朝鮮側はまた、市川修一さんが招待所から遠い海水浴場で死亡したのは「緊急出張中」のことと説明しながら、出張の用務については「特殊機関の業務であり、機密事項であるためお答えできない」などと話しました。
死亡したとする拉致被害者の「遺体」について、「当該機関から要求してきたので引き渡した」（増元るみ子さんの死亡を確認したという医師）などの証言も多数ありました。
このほか、北朝鮮側は、原さんは拉致ではなく「自発的に来た」と主張し、国際手配されている辛光洙容疑者を「優遇しているのは我が国内部の問題」と発言。日本側が原さん拉致の調査結果を伝えると「初めて聞くもので、当該機関（特殊機関）に確認したい」などと答えています。
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