2004年12月9日(木)「しんぶん赤旗」
政府は八日、先月平壌で開かれた第三回日朝実務者協議で、北朝鮮側が拉致被害者横田めぐみさんのものとして提出した遺骨について、DNA鑑定の結果、めぐみさんとは異なると発表しました。遺骨からは二人の人物のDNAが検出され、いずれもめぐみさんと一致しませんでした。政府は「虚偽の資料提出は極めて遺憾」(小泉純一郎首相)として、北京の大使館ルートを通じ北朝鮮側に抗議しました。
首相は八日夜、首相官邸で記者団に「真相解明、誠意ある対応を求めていく」と述べました。さらに「対話と圧力の両面を考えて、交渉を打ち切ってはいけない」と表明しました。
これに先立ち同日夕、記者会見した細田博之官房長官は、めぐみさんと異なる遺骨を提供した北朝鮮側の対応について「両国間の諸問題に誠意を持って取り組むとした(二○○二年九月の)日朝平壌宣言の精神に違反するのは明らかだ」と厳しく批判。「日朝間の交渉に非常に大きな障害が出る」と述べました。
北朝鮮への経済制裁については「その他の資料の精査を含めて早急に検討する」と述べるにとどめ、遺骨以外の資料の精査には「一、二週間はかかる」と述べました。
遺骨の鑑定は、帝京大学法医学研究室で主として行われました。結果は、外務省の藪中三十二アジア大洋州局長からめぐみさんの両親にも伝えられました。
平壌での実務者協議は十一月九日から十四日まで開かれ、遺骨はめぐみさんの夫とされるキム・チョルジュン氏が藪中氏らに提供し、「裏山に埋葬したのを掘り起こし、焼いて骨つぼに入れた」などと説明していました。
遺骨をめぐっては、北朝鮮側が二〇〇二年九月、日本政府調査団にたいして、「松木薫さん(欧州留学中の一九八〇年に失踪)のものと思われる」とする遺骨を提出しましたが、日本側で法医学的鑑定をした結果、別人のものであることが確認されています。
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日本共産党の志位和夫委員長は八日、北朝鮮側から拉致被害者の横田めぐみさんの遺骨として提供された骨が別人のものだったと日本政府が確認したことについて、「北朝鮮の対応がきわめて無責任なものだったことを示すものだ」と北朝鮮の対応を厳しく批判しました。国会内で記者団の質問に答えました。
志位氏は、「なぜこういうことがおこったのか、徹底的な真相究明をおこなうことが必要だ。意図的なものなのか、現場の調査や関係者の調査など、とことん真相をつきとめる調査が必要だ」と強調。そのためにも「いまこちらから交渉の扉を閉ざすことは適切でない」とのべました。