2004年12月1日(水)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の緒方靖夫議員は三十日の参院外交防衛委員会で、第三回日朝実務者協議で北朝鮮が示した拉致被害者の情報について政府の見解をただし、「真相解明のためにも北朝鮮との『対話の道』を断ち切るべきではなく、協議を継続すべきだ」と強調しました。
緒方氏は、政府が現在進めている情報や物証の精査の目的について質問。協議で副団長を務めた外務省の斎木昭隆アジア大洋州局審議官は「不明確な点などを積極的に整理し、拉致問題の真相究明に全力をあげることだ」と答えました。そのうえで緒方氏は「北朝鮮側の説明には不可解な点が多くみられる」として、原敕晁さん、横田めぐみさん、市川修一さんを「死亡」とする説明についてただしました。
このうち「ソンドウォン海水浴場で、心臓まひにより水の中に沈んで死亡」とする市川さんについて、独自調査をもとに同海水浴場が海岸から百メートル先でも水深一・五―二メートルの遠浅であり、「泳ぎが苦手な市川さんがわざわざ百メートル先まで行って『水の中に沈む』ことなど考えがたい」と指摘。当日の水温が二二・五度だったのにたいし、陸地の気温は「韓国の気象庁に問い合わせたが、平均一八度しかなく、水の中の方が暖かかった。このような状況で『心臓まひ』を起こすのは不自然だ」と強調しました。
斎木審議官は「まさにご指摘の点も含め、不可解なことがたくさんある」と答弁。「真相究明に引き続き努めたい」とのべました。
緒方氏は「政府がすすめる精査の結果を北朝鮮にきちんと示し、新たな回答を得て真相の解明をすすめるためにも、協議の継続が必要だ。経済制裁は解決の道を閉ざしてしまう」と指摘。日朝協議と車の両輪である六カ国協議は、最近のASEAN+3(日中韓)首脳会議で早期に開始することで合意していることをあげ、経済制裁は「状況を悪化させる行動をとらない」という六カ国協議の合意に反する逆流をつくると主張。
さらに、食糧人道支援打ち切り論にたいして、国際的な人道支援の約束に反することにすすむなら「日本の国際的な立場・信頼性を損なうもの」と批判し、協議継続を重ねて強調しました。